新人警察官は駆け上がる





































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第29章 悲しい過去にさようなら
暗い場所にいても光や声は届く
津田「・・・ん、ん?」
また知らない天井だ。
津田「っ!いった!!」
起きあがろうとすると肩が痛む。
刀で負った傷だろう。
「起きた?」
津田「え?」
橋本さんがいた。
津田「なんでいるんだよ。」
橋本「運ばれたからって聞いて飛んできたのよ。」
津田「ほんまかよ。いっ!」
肩が痛む。
橋本「そんなに縫ってないらしいけど、安静してって言ってたわよ。」
津田「そうかい。俺は、退院できるんだ?」
橋本「起きたら呼んでっ言われているから呼んでくるね。」
津田「わかりました。お願いしまーす。」
また病院にいるのか。
まぁ、仕方ないか。
津田「はぁ〜、十津川さんになんて言い訳しよう・・・」
「なんだって?」
津田「・・・げぇ!!」
十津川「なんだ、げぇっとは。」
津田「いや、その!えぇ〜と!」
十津川「お前は、また連絡もなしで敵に突っ込んだのか?」
津田「す、すいません・・・」
十津川「まぁ、いい。あと、蔵に火をつけたのは、お前か?」
津田「えぇ〜と・・・はい。」
十津川「怪我人が出たらどうするつもりだったんだ?」
津田「そ、それは・・・」
十津川「そこまで考えてなかったのか。馬鹿もん。」
津田「すいません。」
十津川「事件が解決したから、一件落着ではないぞ?何年目だ?」
津田「5年目です。」
十津川「はぁ〜、犯人が捕まったが、お前の後処理で大変だぞ。向こうの不注意で火がついたってことにするぞ。」
津田「すいません。」
十津川「あと、お前にお客さんだ。」
津田「へぇ?」
「どうも。」
津田「あ、平手さん・・・」
十津川「では、私はここで。まだ仕事が残っているのでな。」
津田「ちょ、ちょっと!!」
うわ〜、気まずい。
あんまり話したことないのに。
平手「ありがとう。助けてくれて。」
津田「いや、あれが俺の仕事だ。気にしなくていい。」
平手「でも、私・・・」
津田「いいんだよ。あんたが、色んなことに耐えて今があるってのよ。」
平手「え・・・」
津田「すまないが、色々調べさせてもらったわ。」
平手さんに関する記事を集めて読み漁った。
まぁ、橘に協力してもらったがな。
津田「色々と心ない言葉や訳わからねぇこともやられたのも見たわ。」
平手「・・・」
津田「でも、俺は、とやかく言うことはないわ。今も色々言われているだろうけど、これだけは、言わせてくれ。」
平手「何?」
津田「どんなに暗い場所でも光や声は届く。それが希望かどうかはわからないが、あんたが表舞台に顔出した時もそうだったろ?」
平手「・・・」
津田「救ってくれる人は、いっぱいいる。昨日の俺だってそうだ。信じろと言わないが、人を頼ってもいいんだぜ?」
平手「わかった。」
津田「そうか。それに仕事あるだろう?行けよ。」
平手「うん、ありがとう。またね。」
津田「あぁ、またな。」
そうやって平手さんは病室を出ていく。
津田「はぁ〜、疲れた。」
橋本「何が疲れたよ。」
津田「うわ、出た。」
橋本「何が出たよ。いつでも退院してもいいって。」
津田「そうかい。」
橋本「あと、お客さん来ているわよ。」
津田「お客?誰だ?」
「久しぶりだね。」
津田「げぇ!!お前は!!」
会いたくなかったやつがいる。
津田「今田・・・」
小夏「久しぶりだね。」
津田「うわ〜、席外すわ。外行ってくる。」
橋本「いいわよ。行ってきなさい。」
津田「うぃ〜す。行こうか。」
小夏「うん。」
まじで会いたくなかったやつだ。

満腹定食 ( 2021/08/07(土) 21:50 )