新人警察官は駆け上がる





































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第25章 臭いと悩みはすぐに消えない
真犯人は?
分署に出勤すると、捜査本部の空気がピリついていた。
聞くに聞けない状態なので、刑事部長が話をするまで待っている。
「えぇ〜、任意同行させた男性だが、アリバイがあった。取引会社からトラブルの連絡が来てすぐに対応しに行ったのことだ。その証明もできている。」
要するに犯人が誰なのかわからない状態になったのだ。
「非常に残念だが、もう一度ご遺体の交友関係を調べてくれ。」
ピリついた状態で解散になる。
刑事課って怖いわ。
十津川「津田。ちょっと。」
津田「はい?」
また十津川さんに呼ばれる。
十津川「お前さんは、どこから聞き込みをするつもりだ?」
津田「そうですね・・・」
考えてなかったな。
だが、誰に何を聞くか・・・
津田「任意同行した男性に話を聞きに行きます。」
十津川「どうしてだ?」
津田「ご遺体となった男性の最後の顔を見ています。もしかしたら、その時に犯人と接触している可能性があると思いました。」
十津川「なるほど。では、早速行くとしよう。」
津田「え?仕事は?」
十津川「また副署長に任せてある。ほら、行くぞ。」
津田「え、えぇ〜。」
〜〜〜〜
ご遺体の勤めていた外資系会社に着いた。
最近できた綺麗な5階建ビルだ。
津田「綺麗やな〜。」
十津川「ほら、行くぞ。」
津田「はい。」
入って、受付に警察手帳を見せる。
受付の人は、すぐに察したのかどこかへ電話をする。
10分後ー
「またですか・・・」
十津川「申し訳ありません。この若いのがまだ聞きたいことがあるみたいで。」
津田「え?十津川さん?」
十津川「あるんだろ?」
目と顔で圧をかけられる。
津田「は、はい・・・」
「立ち話もあれなんで、そこのソファーにどうぞ。」
十津川「すいません。ありがとうございます。」
津田「ありがとうございます。」
一階に設備されているソファーに座る。
「それで、聞きたいことはなんですか?あ、飲み物は、出せませんが。」
十津川「いえ、お気遣いなく。津田。」
津田「はい、貴方が見たご遺体の顔を知りたいと思いまして。」
「え?」
津田「知り合いで最後に顔を見たのは貴方だと仮定しています。その時にご遺体が犯人と接触した可能性があると思いまして。」
「最後か・・・ん〜。あ、でも少し目を見開いてたと思います。」
津田「どこを見てですか?」
「えぇ〜、どこだったかな・・・」
津田「当日の地図です。ここを見てもらっても構いません。」
念のために持ってきた駅のパンフレットを出した。
「えぇ〜と、ここですね。」
駅の改札付近を指差す。
津田「ありがとうございます。あと、何か隠してますよね?」
「え?」
十津川「津田、どういうことだ?」
津田「さっきから多分ですけど、携帯を気にしているんですよ。それは、誰かからメールやメッセージを受けているということになります。」
十津川「それは、本当ですか?」
「・・・はい。」
津田「なんで、隠していたんですか?」
「刑事の取り調べが気に入らなかったんだよ。実は・・・こんなメールが」
携帯を見せてもらう。
メールの内容は
[お前のせいで妹が死んだ。お前に天罰が来ることを忘れるな。]
津田「心当たりは?」
「すいません。本当に心当たりがないです。」
十津川「そうですか。ありがとうございました。」
津田「失礼します。」
その場を後にする。
会社を出てから俺は、北村さんに電話をする。
北村『どうした?』
津田「すいません。イベントの日に駅の改札付近を警備していた人間を出してください。あと顔も。」
北村『わかった。すぐに送る。』
津田「お願いします。」
これでわかるはずだ。
十津川「犯人の目星はつきそうか?」
津田「いや、俺にはそこまでの力はありません。あとは、ベテランの刑事達に任せます。」
はやく捕まればいいのにと思う。


満腹定食 ( 2021/07/17(土) 07:48 )