新人警察官は駆け上がる





































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第25章 臭いと悩みはすぐに消えない
再始動
SLの楽しみながら、おひさま達はメンバー達と楽しく談笑をしている。
俺と十津川さんは、それを見ながら窓から見える景色を見ている。
「津田さん。」
津田「高瀬さん?どうした?」
高瀬「隣いいですか?」
津田「いいぞ。」
俺の右隣に高瀬さんが座る。
高瀬さんと話そうとするおひさまは少ないらしく、俺のところに来たっぽい。
津田「ファンの人と話さなくていいのか?」
高瀬「うん、結構話したから。それになっちょや愛萌の方が人気やから。」
高瀬さんは、日向坂の中では人気があるとは言えない。それに他のメンバーよりも劣ってしまう。
それに潮さんや宮田さんの方が喜怒哀楽がはっきりしているため高瀬さんの無表情が余計に悪く目立つ。
これが高瀬さんと他のメンバーとの差なんだろう。
津田「まぁ、高瀬さんを見てくれている人がいるだからその人たちを大切にしな?俺は、応援することしかできないけど。」
高瀬「うん。」
十津川「お嬢さんも可愛いから人気があると思うが?」
津田「そんなことないんですよ。もっとシビアな業界なんですよ。我々、警察官と違って。」
十津川「ほぉ〜、津田?転職の準備でもしているのか?」
津田「そんなわけないでしょ。一生警察官として働きますよ。」
十津川「よく言った。お嬢さん、少しだけだが応援させてもらうよ。で、どうすればいいんだ?」
津田「最初は、タオルからでいいんじゃないんですか?」
高瀬「そうですね。それからですね。」
十津川「次の駅で買えるかね?」
高瀬「買えます。ここ限定のタオルはありますので。あ、取り置きしてもらえますから連絡しておきますか?」
十津川「おぉ〜、ありがとう。」
これで十津川さんもおひさまになるわ。
ドサッ!
誰かが倒れる音がした。
そこに注目がいく。
津田「ごめん、高瀬さん。」
十津川「私も行こう。」
音のした方へ行く。
男性が倒れている。
津田「すいません。大丈夫ですか?」
十津川「あの、係の人は?」
「はい。私達です。」
坂道警備部の2人がきた。
十津川「あとどれくらいで駅に着きますか?」
「えぇ〜と15分かからないくらいです。」
俺は、脈を測る。
津田「十津川さん、脈がない。」
十津川「何?」
身体を触り、外傷がないか調べる。
「あの、あんまり・・・」
十津川「あ、すいません。こういう者です。」
俺と十津川さんは、警察手帳を出す。
「え?!」
津田「はい、動かないでください。今から動いた人は、駅に着いた時に職務中の警察官に逮捕してもらいます。すいません。警備の人、次の駅に警察官を手配してください。あと、この車両への立ち入りも禁止で。」
「わ、わかりました!」
十津川「津田、外傷は?」
津田「ありません。毒物も可能性があります。」
十津川「だが、苦しんだ形跡がない。」
津田「毒物じゃなくて、睡眠薬の可能性は?」
十津川「ありえるな。とにかく遺体を。」
津田「はい。」
緊張感が走る。
重苦しい空気になる。
津田「すいません。みなさんのお名前と住所を控えさせていただきます。虚偽が発覚した場合は、任意同行をする可能性があります。しっかり書いてください。」
〜〜〜〜
駅に着き、大勢の警察官が待機している。
「と、十津川署長?!な、なんでこんなところに?!」
十津川「いや、休日をここで過ごしていたんだよ。しかし、こんなことになるとは。」
「あの、隣にいるのは?」
津田「日向坂区太陽町交番に勤務している津田雄介と申します。えぇ〜と。」
十津川「私の休日を過ごす相手だ。とにかく、すぐに捜査本部を設置する。鑑識!すぐにしてくれ!」
「は、はい!」
津田「遺体には、自分の指紋がついています。それ以外は、犯人の可能性があります。」
「了解!」
十津川さんは、いつもの目でも署長の目をしていない。
あれが十津川さんの刑事をしていた目だと確信する。
「津田さん。」
振り向くと、高瀬さんと潮さん、宮田さんがいた。
潮「私達どうなりますか?」
津田「事情聴取して終わると思う。安心して、犯人は絶対捕まえるから。」
宮田「捕まりますか?」
津田「とにかく、現場検証と解剖の結果次第だな。」
高瀬「・・・」
高瀬さんは、表情を変えずに話を聞いている。
「おい!そこのお前!早く来い!」
津田「今行きます!それじゃ、あとは聞きにきた警察官に話してや。」
俺は、呼ばれた刑事の人に行く。
とんでもない事件になってしまったな。

満腹定食 ( 2021/07/15(木) 22:28 )