新人警察官は駆け上がる





































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第24章 周りを見ろ
兄貴分
櫻坂区繁華街
津田「で、要件は?」
北村「これが、要件だが?」
熊谷「ほら、頼めよ。」
北村さんに要件があるから来てくれって言われてきたら、会社ではなく居酒屋だった。
北村「とにかく座れ。すいませ〜ん。ビール3つ!」
「はぁ〜い!」
熊谷「追加で、きゅうりの浅漬けとすじ煮込み!」
「少々お待ちください!!」
津田「俺、バイクなんすけど・・・」
北村「あのまま置いとけよ。どうせ取られたりしないから。」
俺がバイクを停めたところは、熊谷さんが住んでいる社宅の駐輪場。
ここから歩いてすぐのところにある。
それに駅も近い。
熊谷「警察の社宅で窃盗しようなんて、頭がイカれたやつしかせんわ。」
「はい、生3つときゅうりの浅漬けとすじ煮込みです!」
津田「あ、すいません。鶏皮ポン酢とよだれ鶏を。」
北村「俺はだし巻きと枝豆、それと鶏皮餃子で。」
「はい!ありがとうございます!」
熊谷「まぁ、とりあえず。」
「「「乾杯!!」」」
〜〜〜〜
結構な時間が経ち、酔いもいい感じになってきた。
北村「なぁ、津田。」
津田「はい?」
北村「お前、何隠しているんだ?」
津田「全然?」
北村「いろんな奴から聞いてるぞ。何かを隠しているって。」
熊谷「そうだぞ〜。俺たちに言えよ〜。」
熊谷さんは、酔いが回っている。
津田「なんにもありませんって。」
北村「嘘だな。お前は、考える時に無口になって目線を下にすることが多くなる。」
元上司、俺のことをよく見ているわ。
熊谷「それに〜、お前は迷惑かけたくないから1人で抱え込もうとする癖もあるからな〜。今回も自分自身のことなんだろうな〜。」
よくわかっている。
北村「あいつらに言わないから、言ってみろ。ほら。」
津田「あ、その・・・警察官を辞めることになりそうです・・・」
熊谷「なんで〜?」
津田「膝の状態が良くないんです。」
北村「そんなことで悩んでいたのかよ。」
津田「だって、北村さん・・・」
北村「お前が、俺の分まで警察官を続けたい気持ちがあるのはわかっている。それにあいつらに迷惑をかけたくないから今まで黙っていたんだろ?」
津田「・・・はい。」
熊谷「そんなこと気にするなよ〜。お前は、現場で迷惑かけるがそれ以外では、かけてないだろ?それに坂道の子たちのためなら命を賭けたいんだろ?」
津田「・・・そうですね。」
熊谷「別に今の同僚たちになら言ってもいいんじゃないか?お前のことを信頼してると思うし〜。」
津田「・・・」
北村「たく、自分自身を気遣わず、周りに気を使いすぎるんだよ。周りを見てみろよ。お前のためならすぐにでも手を差し伸べる奴らばっかりだぞ。」
津田「・・・」
そういえば、そうだったな。
北村さん、駒田さん、村井さん、保田さん、熊谷さん、川辺さん、杉山、平松、乃木坂、櫻坂、日向坂。
全員、俺に手を差し伸べてきた人たちばかりだ。それも俺が守ってきた。
津田「坂道には、まだ黙っててください。同僚には、言います。」
北村「そうか。自分から言えよ。」
津田「はい。」
熊谷「zzz・・・」
津田「熊谷さんは寝ましたね。」
北村「相当、お前のことを心配していたからな。みんな、お前のことを心配しているんだよ。」
津田「すいません。」
北村「いいんだよ。お前が、助けて守った人間が多いんだからよ。」
津田「うっす。」
この後、静かに北村さんとサシ飲みをする。
この人たちには、敵わないわ。

■筆者メッセージ
1話だけ投稿しときます
満腹定食 ( 2021/07/13(火) 18:35 )