新人警察官は駆け上がる





































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第10章 越える一線
敵わない人
十津川さんから電話がきた。
津田「異動先が決まりましたか?」
十津川「決まったぞ、そのうちお前のところに呼び出しの電話が行くと思うからそれの報告だな。」
津田「わかりました・・・」
とうとう決まった。
どこになるんだろう。
島に飛ばされる可能性もあるし、本部の左遷部署になる可能性もある。
だが、俺が望んで警察官に残ったのだ。どこの部署に配属されても職務を全うするだけだ。
津田「そういや、今日誰来るんだ?」
本当にひっきりなしで乃木坂メンバーが俺の部屋で飯食って部屋に泊まっている。
昨日は、寺田さんと鈴木さんが泊まって帰っていった。
寺田さんは、特に心配してたみたいで飯作る前に、怒られたもののそんなに怖くないので笑ってしまった。それにプク顔もかわいかったな。
そのあと食事中に寺田さんから、
寺田(明日は、全員仕事が入っているから来れないのよ。もしかしたら1人で過ごすことになると思うよ。)
って言われたから、久々にゆっくりできそうだな。
ピンポーン
津田「誰だ?」
玄関に行き、扉を開ける。
津田「は〜・・・って、橋本さん。」
橋本「その反応は文句でもあるの?」
橋本さんが少し大きめのカバンを持って玄関前に立っていた。
津田「いえ、何も。どうぞ。何食べます?それとも飲みます?」
橋本「あれ?禁酒じゃなかったの?」
津田「ビールサーバーを借りた所からそろそろ買ってくれという電話が・・・」
橋本「あ、なるほど。これ、スーパーで特売してたから買ってきたわよ。」
津田「あざっす。ではっと。」
袋の中を見ると、鮭が入っている。
他には、玉ねぎとしめじに野菜も入っている。
津田「よし、あれ作るか。よし。」
〜〜〜〜
津田「はい、どうぞ。」
橋本「これって・・・」
津田「ちゃんちゃん焼きですね。」
北海道の漁師町の郷土料理。
俺の実家では、よく作ってくれた料理だ。
あとは、無限ピーマンと玉ねぎスープ、しめじとエノキのバター炒めだ。
津田「橋本さんには、これですね。」
久々に出すビールは、ボイジャーブルーイング THRUSTER。
アメリカンスタイルらしいキレを持ち、ジューシーなフルーツ香、爽やかなシトラスを連想させる香りが楽しめるビールになっている。
俺は、まだ禁酒をするので米を用意する。
橋本「それじゃ、乾杯。」
津田「乾杯。」
橋本さんはビールグラス、俺は茶碗で乾杯する。
橋本「ん〜、美味しい。それから、これを・・・ん〜!これも美味しい〜!」
津田「それは、よかったすわ。」
ちゃんちゃん焼きを一口食べてそのあと米も口に入れる。
津田「うめぇ〜。」
我ながら上出来だ。
橋本「ねぇ、ちまとかずから聞いたけど何か隠しているの?」
津田「えぇ、まだ確定じゃないんで言えませんよ。」
橋本「それってクビ?」
津田「じゃないですけど・・・まぁ、はい。」
橋本「もしかして・・・」
津田「まだ乃木坂メンバーに言わないでください。どこに行くかわかりません。」
橋本「あれって津田君のせいじゃないは・・・」
津田「そうかもしれませんが、本部のお偉いさん方はどうしても俺を異動させたいらしいんですよ。上の命令は絶対ですからね。」
橋本「そんな・・・」
津田「こればっかりは、何も言えません。」
橋本「・・・」
〜〜〜〜
あれからお通夜みたいな時間を過ごしてた。まさか、決まる前に橋本さんにバレるとは・・・。
洗い物をしている水の音が部屋に響く。
橋本さんは、今日は泊まることが決まっている。それに有給も取ったらしく明日も休みらしい。
津田「ふぅ〜、俺もまだまだだな。」
まさかバレるとはな〜。
天井を見てボーとする。
乃木坂メンバーにも何人かにばれてそうだな。
「そんな顔しないの。」
津田「あ、上がりましたか?」
橋本「とっくに、ほら。入りなよ。」
津田「ここ俺の部屋ですよ・・・」
〜〜〜〜
風呂から上がり、今日寝る所をどうするか考える。
津田「俺はソファーに寝るんで、橋本さんは、ベットへどうぞ。」
橋本「何言っているのよ。最近ベットで寝てないでしょ?一緒に寝なさいよ。」
津田「いやいや、流石に・・・」
橋本「さくらと寝たのに?」
津田「それはその・・・」
橋本「ほら、早く!!」
何も言い返せずにその橋本さんと寝ることになった。

満腹定食 ( 2021/06/09(水) 17:03 )