新人警察官は駆け上がる





































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第10章 越える一線
とりあえず食おう
夜勤を終えて、部屋に帰るとこの二人がいた。
津田「で、今日はあんたらか。」
山下「そうだよ。津田さんが元気ないって聞いたから飛んできたの。」
梅澤「どうにか元気出してもらうと思ってね。それにこれね。」
梅澤さんからもらったのは、赤味噌。
津田「ということは、あれだな。」
梅澤「あれですよ。私も手伝いますから。」
津田「よし、やるか。」
今日作るのは高島とんちゃん。
俺も近々作りたいと思っていた料理だ。
〜〜〜〜
津田「はい、完成。」
前と同じ、唐揚げと丼で出す。
そのほかに大根おろし、アボカドサラダ、大根とネギの味噌汁。
津田「いただきます。」
山下・梅澤「いただきます。」
揚げたての唐揚げを食べる。
肉汁がじゅわ〜と赤味噌の味が口の中で広がる。
津田「うめぇ。」
梅澤「美味しい!!これですよ!これ!」
津田「はしゃぐなよ。料理くらいで。」
梅澤「だって、チートデイにしか食べれないんですよ!そりゃこれくらいはしゃぎますよ!」
津田「ほんまに、おもろいな。」
梅澤「どういう意味ですか?!」
梅澤さんを見ると笑ってしまう。
テレビやライブの感じでは、しっかりしているイメージなんだが、ここに来るとポンコツというか抜けている。
梅澤「笑わないでくださいよ!」
津田「え?あ、ごめん。」
山下「あの、津田さん。」
津田「ん?どうしましたか?」
山下「あの、私を助けてくれた人は?」
津田「・・・退職しました。」
山下「それって・・・」
津田「相手が誤ってNOSを押して、そのあと急ブレーキかけてたんですけど、間に合わなくてパトカーに突っ込んだ衝撃で飛ばされて、地面に叩きつけられて怪我を負って、その状態がひどくて復帰できないって。」
山下「そんな・・・」
津田「本人は、悔しいと思いますよ。それなのに、あの人は・・・」
北村(津田!あとは任せたぞ。)
津田「って言ったんですよ。本当は、もっと警察官を続けたかったはずなのに・・・」
やべ、涙流れてきた。
北村さんのあの時の顔と退職する時の顔。
今、思い出してもなんであんな顔をしていたのかわからない。
津田「ごめん、飯時やなに。」
山下「謝らないでください。あの人も津田さんも信頼しあってたのは、あの場面ですぐにわかりました。なのに、私はそれを・・・」
津田「やめてくれ。それを言ったらあの人がやった行為が無駄になる。だから、次あの人にあったらちゃんと礼を言ってくれ。謝るんじゃなくて。」
山下「でも・・・」
津田「でもじゃない。あの人は、命をかけて山下さんを守った。そのことを忘れないでくれ。」
飯の時間がお通夜みたいな空気なる。
俺と山下さんは泣き、梅澤さんはそれを見てどうすることもできずに下を向いている。
津田「すまん。飯を食おう。冷めちまう。」
山下「そうですね。ん!美味しい!!」
梅澤「私も・・・うん!美味しい!!」
北村さん、俺あんたの意思を引きづけるかどうかできないが、やれるだけやってみるよ。



満腹定食 ( 2021/06/08(火) 19:36 )