06
その後優希達は山本先生とも写真を撮った。担当したのは優子だ。
「皆んなおめでと。皆んなに会えないってなると、なんか寂しいわ。」
「先生、僕らが20歳になったら飲みに行きましょうよ?」
「ええで。その代わり、うちを酔わせて襲ったら、警察に通報するでな?」
「そんな変なことしませんよ。優希じゃあるまいし…」
「あのなぁ…」
「優希ならあり得そうだもんね。」
「愛佳まで何言い出すんだよ…」
最後の最後まで優希は雑な扱いをされていた。それを見ていた優子は嬉しそうだった。
(安心した。あんだけ皆んなとワイワイしてるし。昔はずっと私に甘えてばかりだったけど、ほんと成長したんだ。ちょっと悲しいけど、彼女もいるしそりゃそうだよね。)
「優ちゃーん!」
「美桜何処にいたの?」
「はるっぴと咲良と一緒にね。」
「言われてみりゃ、遥ちゃん見てなかったね。すっかり忘れてた。」
「ねえねえ、最後は全員で写真撮ろうよ。あ、美瑠ちゃんだ。美瑠ちゃーん。」
美桜は白間を呼んだ。ちょうど岡田も一緒にいた。
(いつから白間とも距離縮まったんだ?美桜はほんと、誰に対してもフレンドリーだな。ある意味羨ましいわ。)
優希はそう思った。自分と美桜は性格が違った。優希は好き・嫌いがはっきりしているが、美桜は逆に好き・嫌いがなかった。だから、白間を普通に呼べるのだ。
「皆んなで最後に写真撮ろ?」
「いいの?じゃあ、奈々ちゃん。」
「私は別に…」
「遠慮なんかしないでさ。」
「止めろって美瑠…」
「あ、岡田さん…」
「あ…はぁ…わかったよ美瑠…」
「じゃ、私達はここで…」
「じゃあ、優子さんお願いしまーす。」
「いいわよ、皆んな準備いい?」
優子の合図で写真を撮った。
「はーい、いいの撮れたよ。」
「姉ちゃんありがと。」
「いいのよ別に、あんたの晴れ舞台なんだから。」
「ありがと。」
「さ、私は叔父さん達と先帰るから。」
「うん。」
そう言って優子は去って行った。
(そういや父さん達何処居たんだ?全く見なかったけど…)
「優希。」
「何だ?」
「旅行はいつ行くんだ?卒業旅行。」
「卒業旅行…あぁ、えっとね…来週だったかなぁ…」
「『かなぁ。』って…」
「家帰んないとわからない。」
「そうか。早く連絡くれよ、準備しないとだめだから。」
「そうだな。じゃ、取り敢えず皆んな一旦解散で、次は卒業旅行で。」
「おう!」
皆んなそれぞれ帰って行った。