美しい桜と音-3学期編- - 第5章
02
「え!?あんた福岡住むの?」
「うん…」

買い物へ向かう道中、優希は優子に福岡の件を話した。指原先生・麻友に続いて3人目に打ち明けた。

「あんたまさか、朝からため息吐いてたのこれ?」
「うん…」
「はぁ…相変わらずよね。」

優希は終始下を向いていた。逆に優子がため息を吐いた。

「何で黙ってたのよ?」
「言いにくいし…」
「言いにくいって…私よりお義父さんとかお義母さんに言ったの?」
「言ってない…美音にもまだ。」
「あんたって…何で後手後手に回るのよ?」
「….…」
「まぁ…私はきつく言えないけど、お義父さん達許すかなぁ…」
「言ってみないとわかんないけど…」
「もうそろそろ卒業でしょ?卒業式当日に言うなんてあり得ないからね?」
「わかってるよ…」

姉に言われなくてもわかっていた。だが、優希の性格上重い腰を上げるのはいつになるのか?

「今日にも言った方がいいかなぁ…」
「それはあんたが決めることでしょ?」
「それは…そうだけど…」
「早いうち言っといた方がいいわよ。あんたもそのモヤモヤしたままは嫌でしょ?」
「うん…」
「だったら、早いとこ言っときなさい。さ、着いた。荷物持ち頼むよ。」

言おうか迷う優希を他所に、優子は車から降りた。

夜明け前 ( 2018/08/22(水) 17:52 )