美しい桜と音-3学期編- - 第4章
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翌朝、優希はいち早く起きた。だが、美桜と麻友はまだ寝ている。

(昨日結局麻友とやっちまったなぁ…麻友が悠太に言わなきゃいいけど、麻友は口固いから言わないと思うし…そう信じたいけどなぁ…)
「あ…優希君もう起きたんだ。」
「おはよう麻友。」
「美桜ちゃんはまだ寝てるんだね。」
「麻友、昨日の件だけど悠太には…」
「大丈夫。絶対言わないから、優希君と美桜ちゃんと私の3人だけの内緒ね?」
「ありがと麻友。さ、帰るか。美桜起きろ、帰るぞ。」
「んん…もう朝?」

美桜は眠い目を擦りながら布団から出た。だが、美桜は朝に弱くまだ目は少ししか開いてなかった。

「優ちゃんおんぶ…」
「馬鹿言うな、俺は荷物持たなきゃいけないから1人で歩けよ。」
「歩けない、優ちゃんおんぶして…」
「我儘言うなよ…」
「優希君おんぶしてあげなよ。私が代わりに荷物持つから。」
「麻友すまないな。ほら美桜。」

結局優希は美桜をおんぶした。ああは言っときながら美桜の我儘に付き合うのが優希のいいとこだった。ホテルを出ると優希の家へと向かった。美桜はよっぽど眠いのか爆睡していた。

「美桜ちゃん寝てるよ?」
「ほんとだな。あんだけ寝てまだ寝れるのか、羨ましすぎる。」
「美桜ちゃん昨日ずっと幸せそうだったよ?」
「それはそうかもな。俺のことずっと思ってくれてたし、美桜の幸せは俺と一緒にいることだろうな。」

優希の言ってることは正しかった。確かに美桜は優希と付き合ってからかなり明るくなった。優希が福岡へ初めて行った夏休みの時は、優希と久々というのもありどこかぎこちなく、優希や尚達の会話に入れなかった。だが、優希に思いを伝え優希と付き合うことになってから、美桜は前と違い笑顔も増えた。

(絶対悲しませたりしたらだめだな。愛佳ともあの時約束したけどさ…)
「その代わり美桜ちゃんを悲しませたりしたら、私絶対許さないからね?」

愛佳もこの時美桜と一緒に告白した。結果は美桜だったが、去り際愛佳は優希にこう言ったのだ。

(悲しませない…うん!美桜と結婚して幸せな家庭築くぞ!)

優希はそう誓った。

「そういや優希君、卒業したらどうするの?」
「卒業…うん、実はさ美桜と一緒に住むことに決めてさ。」
「え…福岡に?」

優希は麻友にすんなり福岡に住むことを話した。

「約束してよ、指原先生にはもう言ってあるんだけど…まだみんなには言えてないし、親にも言ってないんだよ。だから、実質麻友に初めて言った。」
「そうなんだ…優希君とは卒業したらお別れか…」
「でもすぐには行かないよ?3月中には向こう行く予定だけど、みんなともうちょいいたいし…」
「優希君…うん。じゃあ、卒業したらみんなで卒業旅行行かない?」
「卒業旅行か…そうだな。賛成だ。」
「じゃ、どこ行くかまた決めよ?」
「おう!おっと、家に着いた。ありがと麻友。」
「うん。優希君、今回の件は内緒にしとくから大丈夫。」
「あぁ。」
「エッチの件と福岡住む件ね。」
「麻友…すまない。」

麻友と別れを告げ、優希は家に入って行った。

夜明け前 ( 2018/08/14(火) 17:37 )