美しい桜と音-3学期編- - 第4章
08
麻友は優希を悠太と勘違いしており、寝ぼけているのだが、美桜は美桜で麻友が寝ぼけているとは思っていない。結局はどっちも勘違いをしているのだ。しかし、困るのは優希だ。麻友には悠太ではないことを証明しないといけないし、美桜には勘違いを説かなければならなかった。

(参ったな…美桜は完全に麻友に嫉妬してるわけだし、麻友は麻友でいつ起きるかわからんし…美桜は嫉妬心に火が点いたから、暫くは消えんだろうから…麻友を起こすしかないか。)

そう思った優希は麻友を揺すって起こしたが、麻友はまだ寝ている。それどころか麻友は優希の首に手を回した。

「んん…ゆう…た…」
「うう…麻友ちゃん…」
(麻友はいつ気付くんかな…)
「んん…ん?え…ゆ…優希君?」
(やっと気付いたか?)

優希は明かりを点けた。麻友は慌てて優希から離れた。そして一気に顔が赤くなった。

「あわわ…」
「麻友ちゃんずるい!」
「え…」
(まだ勘違いしてるのか美桜、こういうのには鈍感だよな。)
「はぁ…美桜お前いい加減気付けよ。」
「何を?」
「いいか?麻友はさっきまで寝ぼけてたんだ。麻友は俺を悠太と勘違いして俺にキスしたんだ。それをお前は、俺が麻友に取られたと勝手に思い込んだだけなんだよ。」
「そ…そうだったの?」
「それをさっきから言ってるのに、お前が聞こうとしないし、益々嫉妬し始めるし…」
「ごめんなさい…」
「美桜ちゃんは悪くないよ。私が優希君に迷惑かけちゃったし、優希君ほんとごめんね。」
「一時はどうなるかと思ったけどな。」

ようやく誤解も解け優希はまた明かりを消そうとした。

「さあて、気を取り直して寝るか。」

優希は寝ようとした。が…

「お…おい美桜。」
「んふふ…優ちゃん久々にエッチしようよ〜…」
「ば…馬鹿言うな。麻友いるのに何を…」

今度は美桜が優希の首に手を回した。そして耳元で囁いた。

「俺は疲れてるんだ。もう寝る…」
「意気地無し!」
「うるさいわ。ほら…早く寝…馬鹿!」
「んふふ…麻友ちゃん。」
「え…」
「麻友ちゃんもする?」
「するって…え?」
「いいじゃん。悠太君に言わなかったら大丈夫だよ。」
「止せ美桜、俺はまだ何も…」
「優ちゃんに解答権は無し!」
「止めろって…」

こうして麻友交えての3Pが始まろうとしていた。

(悠太…すまない。)

夜明け前 ( 2018/08/03(金) 17:16 )