第2章
02
「ふぅ、行くよ優希。」
「うん、そんな緊張すんな…って、無理だよな。」

優希と尚は家に入った。だが、尚の両親はいなかった。

「仕事か?」
「親父はしてるけど、母さんは仕事なんかしてないし…買い物かな。」
「買い物ね。一旦戻るか?」
「ううん、待つよ。ほんとは戻りたいの山々だけど。」
「まあな。」

その後、10分ほど経ったが尚の母親は帰って来る気配がしなかった。流石の優希も気が揉み始めた。

「尚の母さんって買い物遅いの?」
「いや〜…パパッと済ませるけどなぁ…ん?親父の仕事の鞄ある、え…じゃあ親父と一緒?」
「鞄があるならそうじゃないのか?」
「親父と一緒…え?」
「ん…どうした尚?」
「まさか母さん…ちょっと親父に電話…」
「ん?」
(尚どうしたんだ?いきなり慌てだしたけど…)

優希は全くわからない。尚は慌てて電話をかけた。相手は父親に…父と母は今どこにいるのか?

「あ…親父?」
《尚…尚か?》
「親父、母さんは?」
《母さんか…今病院だ。》
「え…母さんまた“あれ”が?」
《ああ…お前が家を出て3日後だったかな、俺が家に帰ったら部屋で倒れてたんだよ。》
「そんな…」
《で、何でこんな時間に電話なんか。学校はどうした?》
「親父、今から病院行く。友達と一緒に。」
《お…おうわかった。気を付けてな。》
(俺が…こんなことしなかったら…)
「尚…お前の母さんに何かあったんか?」
「病院だって…俺が家出た3日後に倒れてたって…」
「え!?まずいやつじゃないのか?」
「ああ…優希、今から病院行くけど、お前も来るか?」
「それはもちろん、お前の母さんの身が心配だからな。場所は近いのか?」
「うん。いつも行ってる病院だから大丈夫。」

そう言うと尚と優希は行き場所を、尚の母親と父親がいる病院に変え向かった。

夜明け前 ( 2018/03/04(日) 10:48 )