第1章
06
かなりヒートアップしていた優希と尚…2人とも自分が何を言ったのかわからずにいた。

「優希…お前とは今日で最後だ。」
「………」

優希も応戦した。だが、優希はこんな事はしたくなかった。

「死ねー優希!」
「チッ…」
「止めろー!!」
「!?」

優希は手を止めた。が…

「グッ…」
「あ!」
「一足遅かったか…」

止めに来たのが悠太らだった。優希は辛うじて寸前で止めたが、尚は止めることが出来ず、優希の頬に入ってしまった。

「なんてことだよ…」
「優希…尚…」
「優ちゃん…」

尚は棒立ちしたままだった。悠太は助けようとしない尚にイライラした。

「尚…お前、優希をそのままにする気かよ!」
「………」
「何で変わったんだよ尚…何で…」
「黙って見とけ悠太。」
「優希…」

優希は立ち上がった。咲良は2人を止めようと走り出そうとしてた。

「来るな咲良!」
「嫌!もう…2人とも止めて、仲の良い2人に…戻ってよ!」

咲良は泣いていた。優希には痛いほどわかっていた。だが、今の尚にはそんな気持ちはないだろうと優希は思った。

「まだやり足りないだろ尚…」
「優ちゃん…もう…」
「咲良…お前の彼氏は、俺が目障りなんだってよ。」
「え…優ちゃんが…目障り?違うよ…優ちゃんが目障りなんて…」
「お前が違うかもしれないが、お前の彼氏がそう言うんだ。咲良達が来なかったら、こいつをぶん殴ろうかと思ったが、俺はしない…こいつの気が済むまでやらしてやる…」
「優希…お前、正気か?」
「悠太…美桜に言っといてくれ。」
「馬鹿なこと言うなよ、そんなもん美桜ちゃんが悲しむだろ!」
「あんた私との約束忘れたの?」
「愛佳もいんのか…」

振り返りはしなかったが、優希は声だけでわかった。この場に愛佳もいた。もちろん麻友も。

「確かに美桜と愛佳の約束守れない最低な奴かもしれない。けど…このままじゃ、俺が納得いかないんだよ。だから…充分にやらせたるんだよ。」
「優希…先生、いいんですか?」
「困った生徒よほんと。」
「さぁ…尚!好きなだけ殴れよ!目障りなんだろ?邪魔な奴が前にいるんだぜ?ほら…さっきまでの威勢はどうした?何棒立ちしてんだよ、彼女の前では見せれないのか?」
「く…うぅ…」

尚は膝から崩れ落ちた。最早自分に逃げ場はないと思ったからだ。

「うぅ…何で俺は…くそー!」
「尚ー。」

咲良は尚の元へ走った。悠太らは優希の元へ向かう。尚は泣いていた。

「尚の馬鹿!優ちゃんに刃向かうから…」
「咲良ちゃん…ごめん。」
「全く…お前ほんと何しでかすかわからんな。」
「何がだよ?言っとくが俺何もしてないぞ?」
「嘘言え、俺が『止めろー!』って言わなかったら殴ってただろ。それにさっきお前自分で言ってたじゃねえか、『咲良達が来なかったらぶん殴ろうかと思った。』って…忘れたとか言わせないからな?」
「あれはだな…そのなんだ…えーと、ごめん…」
「優希…一発殴っていいかしら?」
「お前の方が卑劣じゃねえか愛佳。」
「とにかく優希君と尚君、後で職員室来なさい、わかったわね?」
「はい…」

なんとか2人の喧嘩は収まった。尚はただひたすら泣き続けた。

夜明け前 ( 2018/01/26(金) 06:25 )