第1章
03
そして尚はそのまま学校に登校して来なかった。麻友と愛佳はクラスが違うのでチャイムと同時に自分のクラスに戻って行った。それと同時に担任の指原先生が来た。

「みんなー、明けましておめでとう。元気にしてた?」
「はーい!」
「それはよかった。えーと全員…あ、尚君以外はいるね。」

どうも指原先生は尚が来ないことを知っていたみたいだ。しかし、優希達からしたら何故いないのかわからない。こういうのを聞きたくなって聞くのが悠太だった。

「先生、尚何でいないんですか?」
「尚君は今日お休みなの。」
「今日ってことは明日来るんですか?」
「明日もそうね…それは先生にもわからないわ。とにかく今日は休みって連絡があったわ。」

優希は不審に思った。明らかに理由が嘘くさくて仕方なかった。

(今日だけじゃないだろ、多分明日も休みだろ。あいつ最後の最後で不登校なのか?俺に昔『戻って来い。』って言ってたのに。)

そう、1年の時優希は由紀の奴隷になっていた時、救ってくれたのが悠太と尚だったのだ。その尚が休みが優希には信じれなかった。だから、優希も尚の休みの理由が聞きたかった。

「先生、尚の休みって風邪とかですか?」
「優希君、それ以上聞いても私も詳しく聞けてないの。」
「え…先生どういうことですか?」
「実はね、尚君本人からなの。」
「え…」
(尚本人からってどういうことだよ?親じゃなくて尚本人?益々おかしいじゃねえかよ…)

優希は益々信じれなくなった。指原先生もそんなんで了解をするのもおかしかった。

「詳しく聞けてないって…下手したらサボ…」
「優希!!」

悠太が優希の肩を掴んだ。

「それ以上言うな、あいつの身に何かあったかもしれないだろ。それだけは普通に言うんじゃねえよ。」
「でもよ、もしかしたら…」
「わかれよ!」
「………」

優希は黙り込んだ。少しシーンとした後、指原先生が口を開いた。

「まぁ…皆で尚君が来てくれるのを待ってて。私も詳しく聞くから、だから皆はただ祈ってて。」

生徒は頷いた。だが、優希はまだ納得がいかなかった。そのまま朝の会が終了した。すぐに真央・隆史が来た。

「優希、ヤケに熱くなってたな。」
「納得出来るかよ、あいつが休むなんて…」
「でも優希、悠太の言う通りだろ?あいつにはあいつの都合だってある、お前がそんなに問い詰めたって、先生にもわかんないことある。」
「………くそ。」
「とにかく頭冷やせよ。な、自販機行こうぜ。」

4人は自販機に向かった。

夜明け前 ( 2018/01/24(水) 15:33 )