美しい桜と音-3学期編- - 第1章
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その晩、優希の父親と優子が帰って来た。どうも優子は父の付き添いで行っていたようだ。

「お父さんおかえりー。」
「ただいま。優希、母さんから聞いたぞ。お前出校停止になったらしいな。」
「すいません…」
「参ったなぁ…大事な時期だと言うのに。優子ちゃんもなんか言ってあげてくれ。」
「バカ!」
「義姉ちゃん…」

優希は珍しく落ち込んだ。ど直球に言われるとは思わなかったからだ。それも、小さい頃好きだった姉に『バカ!』と言われたからには、心にグサっときた。それを見ていた尚は…

(あれが優希の姉ちゃんか…美人さんだ。優希と美音ちゃんと血は繋がってないのに、容姿端麗だなぁ…優希が羨ましい。)
「尚君?」
「え…ああ、ごめん。つい優希の姉ちゃんに見惚れちゃって…」
「確かに優子さん美人だもんね。優希君と血は繋がってないのは知ってるんでしょ?」
「うん。でも、優希が羨ましいよ。美人なお姉さんがいて、さらには可愛い妹がいてさ。もう一つ言えば超可愛い彼女もいるし…優希幸せだよ。」
「そうだね。尚君は一人っ子なの?」
「うん。だから、兄弟とかいるの羨ましいんだよね。」
「そうだね…一人っ子だとそう思うよね。でも、兄弟はいても大変らしいよ。」
「そうなの?」
「優希君が言ってた、『美音には世話が焼ける。』って。」
「そういえば…確かに言ってた気がする。」

一人っ子は一人っ子で兄弟がいないため、つまらないかもしれないが、いたらいたで大変というのも尚はある程度知っていた。

「はぁ…」
「優希、帰って来て段々元気無くなってきたな。」
「うるせーよ、全く…」
「優希、この子誰?」
「クラスメイトの尚。」
「ふぅ〜ん…意外と可愛い顔してるんだね。」
「え…俺が可愛い?優希…お前のお姉さんに可愛いって…」
「わかったわかった。全く…すぐ鵜呑みにするんだから。」

優希は帰って来て落ち込んだが、逆に尚はテンションが上がっていた。

■筆者メッセージ
久しぶりに更新してあれなんですけど、今大事な時期なため少し連載を休止します。再開時期は未定ですがよろしくお願いします。
夜明け前 ( 2018/02/05(月) 12:43 )