第1章
08
帰り道、優希と尚は冬休みの話で盛り上がっていた。

「優希いいよな、1人で福岡行ってさ。美桜ちゃん相変わらずだった?」
「相変わらず…まあそうだな。初詣は2人で袴と着物着て行ったからなぁ…」
「成人式じゃん。」
「だろ?俺は嫌だったんだけど、美桜の親さんが用意してくれたからさ…」
「断れないか。クリスマスはデートしたんだろ?」
「まあね。」
「当然営みも…」
「営みって…言い方あるだろ?」
「他にあるか?俺はそんな状態じゃなかったし…」
「わかったわかった。しかしお前も可哀想だな、親に交際を許されいってさ…そんなにきついんだ。」
「きついんじゃないよ、余計なお世話なんだよ。もうそんなに小さくないのにさ、いちいちうるさいし…」
(なんか…美桜の親と似てるな。けど、美桜のとこ以上にうるさいのかもな…)

美桜の親も美桜に対してかなりしつこかった。しかし、話を聞いてると尚の方は一から十まで厳しそうな感じがした。めんどくさがりの優希には無理なタイプだ。

「そっか。なんか明日、尚の親に会いたくなくなってきたな…」
「ちょっと優希…お前が言っといてそれはないだろ?」
「冗談だって。さ、着いた。」
「ここが優希ん家か。早速お邪魔しよ、優希の姉ちゃん初めて見るかもな。」
「血は繋がってないけどな、可愛い義姉ちゃんだよ。」

そう言いながら玄関を開けた。と…

「優希!!」
「何母さん?」
「あんた出校停止だって?」
「何で知ってんだよ…」
「先生から電話があったわよ、あんた何したの?」
「それは…」
「あれ…尚君じゃん?」
「どうも…」

帰って来て早々母親から出校停止の説明をしろと言われた。

「いや…まぁ口喧嘩しただけだよ。」
「ほんと?で…後ろの子は誰?」
「今日泊めさせてって…訳ありな奴やから。」
「いいけど、只でさえあなたの休みどころないのよ?」
「ないのよって…俺が悪いみたいになってんじゃん…」
「まぁまぁ優希、中入ろうよ。寒い…」
「そうだな。」

優希らは中に入った。

夜明け前 ( 2018/01/27(土) 16:28 )