第6章
09
「んん…もう朝ね。優希は…あら、まだ寝てる。」

昨晩、義理ではありながらも優希と一線を越えた。優希はまだ寝ている。優子は優希を起こさずにベッドから出ると風呂に向かった。下はまだ少し疼いていた。

(まさか優希がそんなに経験豊富とは思わなかったわ。でも、寝顔はいつまでも子供のままね。)

ザッと洗い終わると風呂を出て優希の近くまで戻った。まだ起きる気配のない優希、優希は頭を撫でた。普段優希は撫でる方が多いが、撫でられる方はあまりなかった。

(優希の頭撫でるのいつ以来?小学生とかぐらいかなぁ…)

なんて考えながら撫でていると電話が鳴った。相手は美音からだった。

「もしもーし、美音どうしたの?」
〈あ、お義姉ちゃん?今どこー?お兄ちゃんと一緒?〉
「ごめーん美音、連絡するの忘れてたね。今優希と一緒、昨日買い物遅くまでしてたから泊まろって話になって…」
〈そうだったんだ。それなら連絡してよ、お父さんもお母さんも心配してたんだから。〉
「ごめんね、昼前には帰るから。」
〈わかった。お父さんらにも言っとくよ。〉
「よろしくね。」

電話を切るとちょうど優希が目を覚ました。

「義姉ちゃん?」
「起きた?そろそろ家帰るわよ。」
「あ…うん。父さんら心配してた?」
「さっき美音から電話きたわ、『お義姉ちゃんらどこー?』って。」
「やっぱ心配してたか…すっかり忘れてたから。」
「さ、これ以上心配かけちゃまずいから帰るわよ。」
「うん。」

2人でホテルを出ると車に乗り家へと向かった。帰りの車の中では優希の3学期の話が出ていた。

「あんたもうちょいで3学期じゃない。宿題済んだの?」
「もちろん、早めにね。」
「相変わらず早いのね。あんたもついに卒業か…就職にするの?それとも進学?」
「まだ考えてない。」
「ぼーっとしてたらだめよ?ある程度決めとかないと。」
「言われなくてもわかってるよ。その内決めるから。」
「そういうのが一番だめなのよ。」
「うるさいな…大体決めてるし大丈夫だって。」
「ほんとかしらね…」

そう言った優希だが、実はまだ決めていない。というのも、東京へ帰る日に美桜に言われたあの一言があったからだ。

「卒業したら一緒に福岡に住も?」

まだ親にも誰にも言っていなかった。いつかは言わないといけないと、優希は思っていた。しかし、いつ言えばいいのか?優希は卒業後の進路と美桜との約束をいつ言うべきか、最大の山場を迎えようとしていた。
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■筆者メッセージ
お久に更新、そして冬休み編これにて終了です。次回は3学期編、実質の最終章的な感じです。優希らの進路は決まるのでしょうか?お楽しみに。
夜明け前 ( 2018/01/19(金) 11:58 )