第5章
03
「芽瑠じゃん、それにまどちゃんになっちゃん。久しぶり〜。」
「美桜元気だった?」
「うん。」
「まさか、学校辞めるとは思わなかったよ。」
「ごめんね、驚かすつもりはなかったんだけどね…」
「みんな驚くよ…」

どうも美桜は前通ってた学校の友達と話していた。だが、優希からすると一体誰なのか全くわからない。

(美桜の友達か?てか美桜…俺の存在に気付いてるよな?)
「あ…優ちゃんごめん。拗ねた?」
「拗ねてはないけど…」
「美桜、隣にいるのは…もしかして彼氏さん?」
「うん。紹介するね、向井地優希って言うの。私は優ちゃんって呼んでるけど。」
「どうも…」
(なんか美桜にフルネームで紹介してもらうと、なんか恥ずかしい…)

優希は軽くお辞儀をすると、美桜の友達を見て羨ましく感じた。福岡に来てもう2週間近くなる。悠太達としばらく会ってないと、ちょっと寂しくなる。何せ、美音とこんな長くいないことはないから、違和感があった。

(あいつら元気にしてるかな…)
「優ちゃん?」
「うん?」
「どうしたの?」
「なんでもないよ。」
「そう?あ…私の友達紹介するね。左から田島芽瑠・森保まどか・松岡菜摘。」
「初めまして彼氏さん、田島芽瑠です。美桜がこんなカッコいい彼氏ゲットしたの羨ましいです。」
「あ…ありがと。」
(すごい元気な子だな、声もちょっと大きいな…)
「彼氏さん、私は森保まどかって言うの。」
「初めまして…」
(美桜と同い年か、身長高いな…美桜が小さいからか?)
「私は松岡菜摘、美桜とは古くからの友達だよ。よろしくね。」
「あ…はい。」
(この子はなんだろ…女の子だけど、なんかカッコいい…)
「みんな優しいから優ちゃん大丈夫だよ。」
「うん、うん…」
(別に怖いとは思ってないけど、博多美人というか…見惚れてしまう。)

美桜もそうだが4人とも美人だから、優希は思わず見惚れてしまった。優希は改めて思った、こんな美人な彼女が出来てと…

「ところで美桜、彼氏さんってここの人?」
「ううん、東京だよ。」
「東京か…東京って福岡より多いですか?」
「まぁそうだね、駅前とかは多いね。」
「いいなぁ…私東京行ったことないんですよ、彼氏さんどうしたら行けますか?」
「ど…どうしたら?それは俺に聞かれてもわかんないな…」
「そうですか…」

芽瑠はがっかりして落ち込んだ。別に優希もたまたま東京で生まれただけで、もしかしたら東京以外で生まれたかもしれない。

「え…彼氏さんここに来たのは美桜に?」
「そうですよ。」
「いいなぁ…」
「そういやみんなはいるの?」
「いないよ。」
「なっちゃんいたじゃん、私より前に。」
「確かにいたけど、あの彼氏さ最低なんだよ?私のことなんか好き勝手にいろいろしてさ…あんなことやこんなこともさ…」
「ちょっと菜摘、みんないるから。」

だが、菜摘の愚痴は止まらなかった。優希は少し耳が痛かった。自分も過去に近いことをしてたから…

「はぁ…早く新しい恋見つけたい!」
「ちなみに美桜、彼氏さんはどんな感じなの?」
「優ちゃん?う〜ん…上手く言えないけど、私のこと1番に思ってくれて、何よりえーと…」
(美桜まさか…下も言うのか?)

優希は少し焦った。初詣は終わったとはいえ、場所はまだ神社。優希としたら謹んだ方がいいと思い、念で美桜に伝えた。“何も言うな”と…

「ま、見た感じだよ。」
「そっか。じゃあ私が思った感じでいいんだね。」
「芽瑠、優ちゃんどう見たの?」
「気になるの?」
「変なこと言ったら許さないよ?」
「美桜怖い…」
(よかった…念が通じた。)

優希はホッとした。その後、芽瑠・まどか・菜摘と別れ、優希と美桜は帰って行った。

夜明け前 ( 2017/12/10(日) 15:16 )