第4章
01
「優ちゃん、ついに来たね。大晦日。」
「ああ。あっという間に1年終わったな。」

優希と美桜は家に向かいながら話していた。今日は12月31日…そう1年最後の日。優希にとってこの1年はかなり濃い1年だった。

「優ちゃん。」
「何だ?」
「優ちゃんのこの1年どうだった?」
「この1年ねぇ…う〜ん…」
(1学期は確か…)

優希の1学期スタートはとある疑惑から始まった。

「優希君、紛らわしいことしたからよね?」
「はい…指原先生すいませんでした。」

この時はまだ恋愛禁止だった優希達の学校だったが、優希はわざとではないとはいえ、ある女子と手を繋いでいるとこを撮られてしまった。それがきっかけで優希はあることを知ってしまった。

(裏校則…今思っても考えられんよな。)
「あら…優希君チェリーじゃないのね。」
「先生…ほんといいんですか?」

指原先生との一線は今思っても間違いだったのではないかと思った。その後、親友悠太も裏校則を知った。またこんなこともあった。

(美音とも一線越えたんだよな…あの時は確か柊もいたっけ?)
「お兄さんはそう思ってなかったかもしれませんけど、美音ちゃん案外その気だったんですね。」
「お兄ちゃん…優しくして?」

昔は可愛かった美音も、優希と一線越えてから変わってしまった。

(あれは間違いだよな、それで数日後には麻友と愛佳ともしたんだよ…)
「優希…私を捨てないで…」
「優希君…私も…」

今では悠太らとも仲良しの愛佳だが、あの当時はヤンキーだった。ヤンキーと思ったのは悠太のみだったが…

「優希、あの子はあかん…」
「悠太ビビり過ぎだって…」

その悠太も麻友と付き合った。

(あれは1学期の終わりがけだったよな…てか、その前に咲良ともあったな…)
「咲良…今日だけいや、ゴールデンウィークだけ俺の彼女になってくれへん?」
「優ちゃん…うん!」

5月のゴールデンウィーク…1人寂しく過ごすかと思ったが、咲良が来たので優希は楽しかった。そして…

(ほんと終わりがけだよな、恋愛解禁になったの。)
「明日から恋愛解禁になります。」
「嘘…」
「優希やったな、やっと自由になれるぜ。」

ようやくの解禁だった。それも、何の知らせも無しにだ。

(あれって何の降りでそうなったんだ?う〜ん…誰にも言ってないけど、まぁ悠太には言ったけど。)
「優ちゃん?」
「ん…ああ悪りぃ。いや…ほんと濃い1年やったなぁって。」
「濃い1年?」
「まあいろんな経験というか、出来事があったからね。」
「ふぅ〜ん…」
(なんか美桜、怪しんでないか?)
「ま…優ちゃんらしいや。やっと家に着いた、お母さん買ってきたよ、しめ縄。」

美桜が早足で家に入って行くのを見て、優希はクスッと笑い後に続いた。

■筆者メッセージ
ついに優希達大晦日来ちゃいました。今回は1学期・夏休み・2学期をダイジェストみたいな感じで書きます。少々内容が違うかもしれませんが、ご了承ください。
夜明け前 ( 2017/11/19(日) 00:39 )