第3章
09
そしてクリスマスの朝、すぐ寝てしまった美桜は目が覚めてしまった。

「優ちゃ…寝てる。あ…そっか。」
(あの後眠くなっちゃって私寝ちゃったんだよね。また優ちゃんに迷惑かけちゃった。昨日は優ちゃんに疲れさせたことばっかしちゃった。もうちょい寝させよ。)

美桜は起こさないようにベッドから出ると、窓から外を眺めた。すると…

「うわー!何これ!?いつの間にこんな感じに…」

外の景色を見て美桜は驚いてしまった。そして、さっきまで『優希を起こさない。』と思っていた筈だが、既に忘れ優希を起こしてしまった。

「優ちゃん、優ちゃん見て!」
「んん…何だ?」
「外見て外、ほら…」
「外が何…おー!雪降ってんじゃん。」

これには優希も目が覚めた。外は銀世界だった。確かに昨日は寒かったが、雪が降るなんて全く思わなかった。

「綺麗…」
「ホワイトクリスマスだな。」
「優ちゃんごめんね、気持ちよく寝てたのに…」
「構わんさ。しかし、ほんと綺麗だな。」
「外寒いかな…」
「さあな、雪降ってるってことは寒いかもな。けど、俺たちは大丈夫だろ。」
「何で?」
「わからんの?」

ため息をつきながら、優希は後ろに回り美桜を抱きしめた。

「優ちゃん…」
「わかった?」
「うん。優ちゃんあったかい…」
「帰るか?」
「うん。」

2人でホテルを出た。やはり、外は寒かった。

「優ちゃん手繋ご?」
「ああ。」

手を繋ぎながら2人は家へと向かった。途中滑りやすいとこがあったが、優希が滑らないように、美桜を離さなかった。

「靴間違えちゃった…」
「仕方ないさ。」
「優ちゃん優しいね。」
「そうかな…」
「咲良もさ、前に言ってたよ。『優ちゃんほんと優しくなった。』って。」
「あまり感じないんだけどな…」

咲良は美桜にそう言ってたが、実際咲良は優希本人にも言っていた。それはゴールデンウィークのこと…

〈優ちゃんほんと優しくなったよね?〉
《そうか?あまり実感ないけどな。》
(確かに咲良言ってたな、俺の初めての印象暗かったからか?それとも、怖かったからか?まぁいいや。)

なんてこと考えながらも家に到着した。

「お父さん、お母さんただいま。」
「おかえり、雪大丈夫だったか?」
「うん、途中何度か滑りそうになったけど、優ちゃんが支えてくれた。」
「優希君ありがとね。」
「いえいえ、それより早くリビング入りたい。寒い…」
「そうだな。早く2人とも来なよ。あったかいから。」

優希と美桜は急いで部屋に入った。

夜明け前 ( 2017/11/10(金) 15:18 )