第2章
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一方、親と大喧嘩した尚は咲良の家に居候していた。

「ごめん咲良ちゃん。」
「ううん…尚君可哀想。親さんには言ってたんでしょ?」
「うん…けど、うちの親小うるさいんだよ。高校生なんだから少しぐらい羽を伸ばしたいのにさ。」
「そうだよね、まして恋愛解禁だったら…付き合いたいよね。」
「真の親はどこにいるんだろ…」

尚は自分の親が信じれなかった。大切にしてくれてるというレベルではない、どちらかというと奴隷に近かった。だが、尚はもう一つ心配なことがあった。

「そういや尚君、荷物なかったけど…」
「家飛び出したからね…荷物持たずに出たから…」
「家戻らないとって…戻りたくないよね。」
「ほんとはね。けど、もうあの家には住まない。咲良ちゃんには申し訳ないけど、ずっと住みたいここに…でも、それはそれで申し訳ないし…」
「いいよ大丈夫。うちの親も了承済みだし。」
「え…ほんと?」
「うん。一回写真見せたら『この子が咲良の彼氏?かっこいいじゃない、今度泊まらせなさい。』って。」
「かっこいいか…なんか恥ずかしいな。」
「だから、うちに住みなよ。尚君の家には私も行くから。」
「ありがと。そうと決まれば早速荷物取りに行こ。」

というわけで2人は荷物を取りに向かった。尚の家に着くとたまたま尚の母がいたが、尚は知らんふりで家に入った。

「尚…戻っ…」
「………」

父の出迎えも無視し、部屋で荷造りし始めた。

「どこ行くつもりだ?」
「あんたらには関係ない。」
「尚…考え直せ、父さんと母さんはな…」
「考え直すのは2人だろ?何自分らが正しいと思ってるの?俺を散々コキ使わせといて。」

正にごもっとな意見だ。恋愛解禁のことは親に言っていた。それを聞かなかったのは2人なんだから…

「邪魔。」
「尚!!」
「触るな!それと名前呼ぶな、うざいんだよ。」

両親を睨みながら尚は家をあとにした。

「………」

尚は家から出た。近くには咲良が心配そうにしていた。

「大丈夫。もう荷物は全部持ったから。」
「そっか。親さんいたけど…」
「知らないよ。もう赤の他人だから。」
「なんか複雑な気がするけど…」
「それはそうだけど…」
「いっか。行こ?私も持つよ。」
「いいよ、咲良ちゃんに申し訳ないよ。」
「大丈夫大丈夫。」

2人はまた咲良の家に向かった。

夜明け前 ( 2017/10/19(木) 10:43 )