第1章
01
「着いた、福岡久々だな。」

2学期終業式の翌日、優希は1人福岡に来た。目的は勿論美桜に会いにだ。前日に美桜から電話があった。

【明日来れる?】

すぐにでも行くつもりだったから、優希は勿論OKを出した。だが、父と母は優希を止めた。

「翌日に行きな。今からじゃ、夜中になってしまう。」
「物騒だからやめなさい。始発で行けば大丈夫でしょ?」

言われてみればそうだ、夕方ぐらいから行ったら、着いたとしても夜遅いだろう。何か起こっても誰も責められない。だから、美桜にはメールで『明日朝一で福岡行く。』と伝えた。美桜も納得し、『うん。気を付けて来てね。』と返信が来た。で、今に至る。

(着いたはいいけど、美桜の家どこだ?)

肝心の家がわからない…事前に美桜からは簡単な地図が送られてきたが、簡単すぎて余計わからない。かといって、誰かに聞いたってわかるはずがない。

(参ったな…どうしよ。)

と、思っていたその時…

「ゆ・う・ちゃん!」
「びっくりしたな、美桜わざわざ来たのか?」
「うん、昨日メールで朝一で行くって言ってたから、それだったら直接会った方がいいなって…正直あの地図わかった?」
「いや全く…」
「だよね、良かった直接会っといて…」
「悪いな美桜。」
「ううん、来てくれただけでも嬉しい。優ちゃん行こ?家でお父さんとお母さんがいるから。」
「わかった。」

優希は美桜と一緒に美桜の家へ向かった。

夜明け前 ( 2017/09/06(水) 06:31 )