第4章
03
山本は秋元の部屋にやって来た。

コンコン

「誰だ?」
「山本です。」
「お…おお、まあ入りな。」


「どうした?」
「あの…折り入って相談が…」
「何だ?」
「あの実は私…片思いの人がいまして…」
「ああ…それなら今朝真人君が話してたぞ。」
「えっ?真人君が?」
「ああ。俺が山本の最近の状態を聞いてたら、そんな話になってな。」
「そうだったんですか…」
「ひょっとして相談ってのは真人君に言うか言わないかか?」
「えっ…何でそれを…」
「やっぱりか…」
「そうなんです…私どうしたらいいかわからなくて…それで秋元先生に相談しようと思って…」
「なるほどな…」

秋元は考え始めた。

(うちとしては真人君に思いを伝えたいんやけど、掟を破りたないからな…秋元先生が何て言うかやな…)
「うーん…俺が思うに…」
「はい…」
「言ってみたらどうだ?」
「えっ…でも…」
「まあ確かに恋愛禁止だから難しいが…でも、このまま伝えずじまいもきつくないか?」
「まあそれは…」
「だから、言ってみたらいいと思う。んでもし、いいなら特別に許す。」
「いいんですか?」
「ああ。ただし、バレないようにな。」
「わかりました。」
「言うか言わないかは自分で決めな。あ、それから明日から東京に行ってくれないか?」
「真人君とですか?」
「山本だけで行って欲しいんだ。真人君にはしばらく休暇を取ってあげたいんだ。」
「わかりました。」
「なら、明日は東京で、真人君の件は自分でな。じゃあ明日頼んだよ。」
「はい。」


(伝えるか伝えないかは帰ってからにしよ。)

山本は秋元の部屋を出て行った。

夜明け前 ( 2015/12/10(木) 18:13 )