第1章
02
「えーと山本さんの楽屋は…ここだ。あー、緊張するな…よし。」

真人は楽屋の前で一呼吸すると、山本の楽屋に入っていった。

「失礼します…ってあれ?山本さん…いない。もう楽屋にいるって聞いたんだけどな…ここで待ってよ。」

10分経った。山本は来ない。聞き間違いだったのだろうか…

(やっぱ探しに行った方がええんかな…でも探しに行ったとしても入れ違いになったら尚更困るしな…どうしたらええんかな…)

なんて思っていたら…

「ん?どちらさん?」

山本が楽屋に入って来た。

「あ…えっと…今日から山本さんのマネージャーを担当することになった佐藤真人です。よろしくお願いします。」
「マネージャーさん?ほんまか?」
「えっ?」
「何でうちより早よ楽屋におんねん?」
「あの楽屋にいるって聞いたんですけど…」
「うちそんなに早く来やへんで?聞き間違いちゃうか?」
「あ…聞き間違い…」
「まさかあんた楽屋物色してなかったやろね?」
「とんでもない、そんなことしませんよ。アイドルの楽屋を物色するとか問題ですよ。」
「怪しいな…まええわ、真人さんやったな。山本彩です。気軽に彩って呼んでええから。」
「あ…はい。」

こうして真人のマネージャーとしての仕事が始まった。

夜明け前 ( 2015/12/05(土) 06:51 )