02
「えーと山本さんの楽屋は…ここだ。あー、緊張するな…よし。」
真人は楽屋の前で一呼吸すると、山本の楽屋に入っていった。
「失礼します…ってあれ?山本さん…いない。もう楽屋にいるって聞いたんだけどな…ここで待ってよ。」
10分経った。山本は来ない。聞き間違いだったのだろうか…
(やっぱ探しに行った方がええんかな…でも探しに行ったとしても入れ違いになったら尚更困るしな…どうしたらええんかな…)
なんて思っていたら…
「ん?どちらさん?」
山本が楽屋に入って来た。
「あ…えっと…今日から山本さんのマネージャーを担当することになった佐藤真人です。よろしくお願いします。」
「マネージャーさん?ほんまか?」
「えっ?」
「何でうちより早よ楽屋におんねん?」
「あの楽屋にいるって聞いたんですけど…」
「うちそんなに早く来やへんで?聞き間違いちゃうか?」
「あ…聞き間違い…」
「まさかあんた楽屋物色してなかったやろね?」
「とんでもない、そんなことしませんよ。アイドルの楽屋を物色するとか問題ですよ。」
「怪しいな…まええわ、真人さんやったな。山本彩です。気軽に彩って呼んでええから。」
「あ…はい。」
こうして真人のマネージャーとしての仕事が始まった。