第4章【CL編】
63話
ペナルティエリアに入る直前、キングは自分でシュートを放った。キーパーとハルクが重なり反応させないように放ったボールはまたも横から出てきた足に当たり阻まれた。

「シュウジ。やっぱり君は見込んだ通りの男だ。」

「随分と上からだな。もう勝った気でいるのか?」

「いや、すまない。予想より早かった、この領域に達したのが。」

(何言ってんだこいつ?)

そう思いながらキングから離れカウンターを伺う修二。

ユベントスのパスをロドリがカットしデブライネ、シルバを経由して修二の足元へ収まりカウンター。

センターラインを跨ぎマリオと向き合う形の中、絶妙なディレイで攻撃を遅らせることを考えているマリオに対し修二は疑問そうな顔で向き合っていた。



レオはどうやって抜いてた?
…たしか、体で揺さぶり相手の重心の逆に。

トンっ

まるで子供がゲームで勝った時の様にイタズラにニヤッと笑いマリオを抜く。スピードに乗る修二を止めようとカバーに来たボヌッチには上半身も大きく傾く様なシザースで1回2回と跨ぎスピードを緩めカットイン。
そのタイミングでボヌッチは読んでいた様に足を出すとカットインした足を素早く切り返すエラシコで抜き去りペナルティエリアに侵入しそのままブッフォンと1対1。
ブッフォンはニヤを空けシュートを誘うと迷わず修二は左足を振り抜く。ボールは誘われたニヤへ向かう。キーパーもヤマを張り来たボールを左手で弾く。


ボールはポストに当たりパーンッと音を立てながら白いラインを割り後半終了間際に同点へと追いついた。覚醒した修二へ向けて観客もVIP席で見守る仲間たちも地鳴りを上げるように盛り上がる。


「マリオ!もっと時間を稼げよ!」

「いや、キング。あれは俺でも無理だ。」

「キャプテン。あんたもあんただ!あんな汚いシザースで惑わされるとはな。」

(違うぞキング。傍から見たら汚いシザースかもしれん。だが、正面で受けたらわかる。上半身を見ればボディフェイント、足元を見ればシザース。それをあの神速を持つ橋本がやってるんだ。こんな厄介な事は無いぞ。まぁ、言ってもわかんないだろうがな。)

ユベントスはクアドラードと交代でデリフトが入り監督の指示をピッチの選手たちに伝えた。

「シュウジ。本当に厄介な奴だ。」

「この状況で笑えるなんて本当に大物だな!キング」

「な!ロナウド!笑ってなんかねーよ。」

「どうだかなー。取りあえずここからはロスタイム。つまりパワープレーに入る時間だ。俺、ハルク、マリオの高さとアジリティにキングの精度の高いパス。こぼれ球はディバラが決めてくれる。コーナーになればデリフトも上がってくる。これで勝ちだ。」

「分かってるよ。」

そう言いチームの意向に従い高さで勝るユベントスがパワープレーで優勢に見える局面が続きクリアボールも体力の有り余ったデリフトがキングへ叩く。こぼれ球にディバラが反応。右足を振り抜くとシルバの足にボールが当たりルーズに。いち早く反応したガス欠寸前のスターリング。倒れながら前線の修二へ渡る。



東魁 ( 2021/02/12(金) 12:13 )