エースは俺 - 第4章【CL編】
61話
キャプテンのボヌッチがキングに駆け寄り口を開く。

「キング!ディフェンスしろよ!」

「カウンターに備えろって指示だろ。守って欲しいなら最初からそう言えよ。ったく、次から守るよ」

「お、おう。俺キャプテンなのに…」

シティとは対照的にユーベはピリッとした空気でリスタート。

ボールを後ろで回し下がり気味の右ウィングのディバラが持つと攻撃陣のギアが上がるかのように動き出すキングがボールを貰いに行くとデブライネとロドリの2人でキングのプレスへ向かう。
ボールはキングを越えてDMFのロドリが前に出たためできたスペースに走り込んだ『百獣の王』に渡りゴールの方へ向くマッチアップのウォーカーが何とか追い付くも引き剥がす様に無理やり縦へ仕掛ける。
抜かれたウォーカーはタダでは抜かれまいとロナウドのユニフォームを引っ張りファールで止めようとする。

「おいおい。マジかよ。」

修二はカウンターに備えると同時にマリオをマークしていた。しかしマリオは上がる様子も見せずディフェンスラインを気にするだけだったためほぼ最前線から見えた光景が信じられなかった。
ユニフォームを掴んだウォーカーを引きずりながら進む『百獣の王』の姿に呆気にとられた。
そんな状態でもロナウドはきっちり枠内へシュートを放つもエデルソンが弾きコーナーへ。ウォーカーにはイエローカードが出てしまった。

「とんでもないな。」

「簡単に勝てるなんて思って無かっただろ?修二とアグエロはカウンター準備!雑にクリアしても意味無いぞ!しっかり2人に繋ぐんだ!」

「デブライネ。なんか、すげーキャプテンっぽいな。」

「アグエロさん、デブライネさんはキャプテンになったんですよ!」

「アグエロ!修二!早く行け!」

「「はーい」」

コーナーを蹴るのはキング。コーナーにしては高くドライブのかかったボールはニヤのロナウドとハルクを超えてゴール左隅へ向かっていく。

キングの放った神がかり的コースを察知したデブライネがオーバーヘッドでスーパークリアしペナルティエリア外の着地点にてロドリがトラップしカウンター。ロドリを起点に修二へ向けて放たれたロングフィードにマリオはあの時よりいい体勢で飛べたのか、いとも簡単に頭で弾きシティのカウンターを阻止。ボールはシルバが何とか収めるもユベントスも完璧に戻ってシティの攻撃を迎え撃つ。
パスを回し立て直すと修二がボールを貰いに下がる。今までのわがままで下がってきたと思ったユベントスもマークをわざと開けパスを限定する。ボールを持っていたロドリもワンツーで行けるよう修二の足元へ強めのパスを放つと修二はボールに触らず股を開けスルー。ウォーカーへのスルーパスになり一気にチャンスになると修二もしてやったりと言わんばかりのイタズラな笑顔でマークのマリオを振り切った修二へウォーカーからダイレクトでボールが向かう。誰が察知できたろう奇襲に『怪物』は追い付き修二をファールなしのタックルで突き飛ばしボールを奪取。
振り向き、前の状況を確認すると自陣の真ん中からドリブル突破。シティはロドリが当たるも軽くいなされセンターバックのストーンズがカバーに入る。

「これで1人剥がれた。」

ニヤッとしながら呟くとチップキックでハルクへ。ハルクも待ってましたと言わんばかりにキングへリターン。完璧に抜け出し虎視眈々と『百獣の王』もゴールへ向かうがウォーカーが必死にマークする。キングもパスをチラつかせる細かいタッチにエデルソンが出るか迷っているとキングのタッチが大きくなった。

東魁 ( 2021/02/10(水) 15:45 )