60話
ユベントスボールから始まるとユベントスはボールを回し無理には攻めない。キングも低い位置でボール回しに参加している。
牙を向けるのは一瞬だった
左ウィングのロナウドにボールが渡り縦へ抜け出すとユベントス選手が大きな波のようにペナルティーエリア内へ押し寄せる。
ウォーカーのタックルをいとも簡単に跳ね除け中へボールを上げる。反応したハルクとストーンズは同時に跳ぶとハルクに負けじと食らいつくストーンズだが空中で弾かれハルクにヘディングを許す。
ボールはバーに当たり高く跳ね返ったボールをペナルティーエリア外にいたキングが寄せそのままボレーシュートを放つと横から出てきた足に当たり防がれた。
「君がディフェンスするなんてね。」
「俺だってするっての。」
「次は決めるよシュウジハシモト。」(一体どこから出てきた。さっきまで俺の周りには誰もいなかったのに。)
「次も決めさせねーよ。」(なんて威力だよ。足いてぇ。)
ユベントスはロングスローでペナルティエリア内のハルクの頭上目掛けて一直線に向かうがエデルソンがキャッチで阻止。カウンターのチャンスとデブライネへボールが渡る。しかしデブライネが前を向く頃にはユベントス選手のほとんどが守備体制に入っていた。
VIP席にて悠人、蒼、翔太、拓真は冷静に解説していた。
「ユベントスはカウンター狙いやな。」
「攻撃はロナウド、ハルク、キングの3人で充分って事か?」
「右ウィング起用のディバラはキングとディフェンスを繋ぐリンクマンとして下がり目に位置取りしているのを見る限りそう捉えるのが自然だよね。」
「ディバラにはドリブルもあるしキングを通さずとも起点になる力はあるからあの位置取りは怖いな。」
そんな中女性陣(奈々未、飛鳥、七瀬)はシティの解説をしていた。
「こうも引かれてはカウンターは出来ないわね。」
「でも得意のポゼッションで勝負出来る。」
「せやで!点が入ればカウンターなんか関係あらへん!」
「まー、なぁちゃんは修二のゴールが観たいんでしょ?」
「そ、そりゃ観たいけど。大事なのは勝つことやで!」
「あ、顔真っ赤だよ?」
「う、うるさい飛鳥!そんな事より応援せな!頑張れー!修二!」
真っ赤になった顔を見た姉妹はその後もニヤニヤしながらいじり倒していた。S姉妹だ。
ピッチでは得意のポゼッションでパスを回すがゴールへの活路が見つからずペナルティエリアの外で回すのがやっとだった。
「久々だな、修二。」
「まーたお前か、次はファールなんてさせる暇無いくらいぶち抜いてやるよ。マリオ」
「覚えてくれてるなんて光栄だな!お手柔らかに」
右ウィング起用の修二のマッチアップはサイドバック起用の『悪童』マリオだった。
修二がサイドから中の密集地帯に走り出しボールを貰う。
マリオの激しいタックルに動じずペナルティエリア少し外でキープし空いたサイドに上がったシルバに渡し一気にシティとユベントスの選手がゴール前へ集まるがシルバはその1列後ろのデブライネへグラウンダーの早いパスを送る。
デブライネの放った弾丸シュートは僅かに空いたシュートコースに鋭く突き刺さり値千金の先制ゴール。
旧キャプテンから新キャプテンへ渡り決まったロマン溢れるゴールにシティファンは地鳴りを上げる様に盛り上がった。
「よく決めた!」
「あんなでかい事言って結果出さないと舐められるからな、特に修二に!」
「何言ってんですか!尊敬してますよ!新キャプテン!」
前半20分に新キャプテンの先制ゴールで良い出だしのシティはポジションに付きユベントスの攻撃を迎え撃つ。