第4章【CL編】
57話
修二はチームバスでホテルに帰らず日本の仲間たちと勝利の余韻に浸っていた。

「修二が日本人初のベスト4の壁を破る偉業を成し遂げてまうとは恐れ入ったで。」

「それだけじゃない、8年間ホームで無敗で来てたバルサのカンプ・ノウの要塞まで壊すなんてな。」

「西野さんは歓喜あまって泣いちゃってたね!」

悠人と蒼も珍しく褒め翔太は七瀬をからかっていた

「ちょっと!翔太!それは内緒だってば!」

「隠すなよ!泣き顔も可愛かったぞ!」

焦る七瀬を便乗してからかったのか本気で言ったのか拓真のみぞ知る。

「みんなありがとな。ここまで来れたのはお前達が俺を引き戻してくれたお陰だ。」

「なんや修二。気持ち悪いぞ。」

「な、言い過ぎだろ!」

みんなの笑い声が響き渡る。レッドカードを貰ったあの日からCLの決勝戦と言う世界一を決める舞台に上がれるようになったのは仲間の支えのお陰だろう。いい仲間を持ったと思いながら修二は5日後の決勝戦に臨む。

一方その頃決勝の残りひと枠を取り合う戦いのユベントス対レアルはファーストレグ1対1、セカンドレグも1対1の合計2対2でアウェイ得点数も一緒の為延長戦へ突入していた。

ノアンがボールを持つとキングが寄せる。互いに互いの攻撃を防ぎきれずそれぞれ1得点1アシストを記録していた。
ノアンは予備動作なしの予測不可能なプレースタイル。キングは圧倒的ポテンシャル。互いにやりずらさを感じながらも若くしてチームの起点となる実力を大いに発揮していた。
そして決着が付く。
ノアンはキングのプレッシャーを背にユベントスのペナルティエリア右側でボールをキープしノールックでマークを振り切りフリーのモドリッチに落とすと縦へ走り出す。モドリッチもダイレクトでキングのプレッシャーから抜け出したノアンへスルーパス。

「淡い。もっとだ。」

そう言いながらモドリッチのパスをカットし前を向いた状態でキングはファーストレグを含めたこの対戦で初めてノアンのプレッシャーを受けずフリーでボールを持った。
モドリッチがそのままプレッシャーをかけに行くも強烈なロングフィードを放つ。そのボールに反応したのは『百獣の王』と『南米産ハルク』。ラモスと『百獣の王』ロナウドが互いに先に触ろうと同時に跳ぶも最高到達点はロナウドに利がある。ハルクの足元へめがけて強烈なヘッドを放つ。トラップが長くなりキーパーが出てくるも大きい体に見合わないスピードで追いつきパワフルで豪快にゴールを決めた。

「ノアン、俺ならあの場で人に頼らない。そこが俺とお前の差だ。」

「ワールドカップ!そこで僕は君に勝つ。今回のマッチアップで僕も相当レベルが上がった。あとは君だけだキング」

試合は終わりユベントスの決勝進出が決定した。



東魁 ( 2020/10/15(木) 11:23 )