エースは俺 - 第4章【CL編】
49話
修二はボールを貰おうとイタズラな笑顔で下がって来るとシルバが呆れた様な笑顔で渡す。
マークをトラップ1発で振り切りサイドを駆け上がりCBのピケを釣り出し中が薄くなった事を見計らいアグエロへグラウンダーの速いパスを放ちそのままボールの行く末を見守る修二。ボールを貰ったアグエロは2列目のデブライネへ落としダイレクトで枠へ放つもキーパーのファインセーブで防がれクリアされる。

「修二の悪い癖ですね。」

「あぁ。ポジショニングが悪すぎる」

「ポテンシャルは良いんですがね…」

「意識の問題だからな。監督の俺やキャプテンのシルバ、ましてや同じポジションのジェズスお前に言われても変わらないだろう。こればかりは経験で培うかある時ふと気付くかしないと無理だな。」

「玉離れは良い分勿体ないですね。」

そんな事を言われているとは知りもせず修二はプレーしていたがジェズスと後半に交代する。

「修二、お疲れ様。アグエロやジェズス。スアレスを見ておけ」

「はい!」(マッチアップもしてないスアレスさんを?確かキャプテンにも言われたな。)

意図は伝えず指示した監督だが、アグエロとジェズスは修二に伝えようとポジショニングを意識して動いていた。

(展開遅いなー。俺なら下がって貰いに行くのに。)

味方の頑張りは修二には届くのか。

拮抗する試合に会場もベンチもヒヤヒヤする展開が続くと
バルサが高い位置でのカウンター。メッシが中央でボールを持つとサイドの選手とワンツーで抜け出しフリーになり前を向く、警戒するはさっきの神のブレ球ミドルシュート。ストーンズが寄せる瞬間スアレスが顔を出しボールを貰うとメッシは裏に抜け出しさらにパスを貰う。味方ですらメッシがシュートをすると思い動きが止まりシティはメッシのシュートコースを消そうと寄せるがスアレスは違った少し下がりペナルティエリアでフリーになると同時にこぼれ球を狙える位置に移動するとメッシはヒールパスでスアレスをアシスト。得点を決めたスアレスはいつものゴールパフォーマンスをしポジションへと戻って行った。

「スアレスはどうやってフリーになったんだ。」

「修二。それは自分で考えろ。」

「は、はい!」

交代で入ったジェズスはアグエロとの連携でボールを持ち込み、逆サイドのスターリングに渡るとさらに大外からオーバーラップして来たウォーカーに渡る。ジェズスとアグエロは流動的にポジションを入れ替え中のジェズスがトラップしピケの頭を越しながらアグエロへ柔らかいループパス。そのままボレーシュートで振り出しに戻す。
ファンからも「よくやった!」「ここで勝っとけ!」「カンプ・ノウの前に決着つけろ!」などバルサのホームに行く前にどうにか勝っとけと言う激励が聞こえていた。
当然だ。バルセロナはCLでのホームゲームは8年間無敗の要塞と化していた。

後半も残りわずかバルサの猛攻を凌ぎシティのゴールキック。ラストワンプレーでどうにか勝ち越したいシティはエデルソンがボールを蹴ると「ディフェンスラインを上げろ!」そう叫びながら前に出ていた。ボールはセンターサークル付近のデブライネの元へ一直線に行くと横からビダルがヘディングでクリア。
偶然か必然か。ボールは神のもとへ吸い寄せられる。
メッシはロドリが寄せるが無理やり前を向きトラップしロドリが足を出した瞬間、シャペウで抜き去り45メートルの長距離ミドルとシティサポーターを沈ませた。
その瞬間無情にも試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

1対2。今季初の敗戦に暗くなっていた…

「いやー、負けたな。アグエロ。」

「仕方ないさスターリング。勝ち続けるのは不可能だ。いずれ負ける」

「でも、歴史を変えるチャンスですよね?」

「お、途中交代させられたのに生意気だな修二」

「俺なんか掴んだ気がするから早く試合したいです!」

「「「…プッ、ブハハハハ!!!」」」

訳ではなかった様だ

「え、なんだよみんな!」

「お前結婚かかってるんだろ?負けてるのに早く試合したいですだって。笑っちまうよ!」

「デブライネ、バカにするのは良くないぞ…ブハッ」

「そういうシルバも吹いてんじゃん!」

「まー、良かった。俺だけじゃないって事か。カンプ・ノウの要塞を壊そうって考えるバカは。」

「そうだぞ修二!ここにはお前と同じくらいのバカが多いからな!」

「か、監督!」

「歴史を変えるのは容易な事じゃない。それ相応の覚悟と信念を持って挑むぞ。いいな!」

「「「はい!!」」」




東魁 ( 2020/09/14(月) 04:00 )