第3章【新天地編】
39話【番外編】
「よし、飛鳥。シティの選手になった経緯を教えてくれ。」

「仕方ないな〜。教えて進ぜよう!」


〜〜〜飛鳥story〜〜〜

「お姉ちゃん!サッカー教えて!」

「なに飛鳥急にどうしたの?」

「お兄ちゃんがまた遠くに行ってお姉ちゃんも海外クラブが注目してるってニュース見て、なんだか2人が遠く感じたの。だから私にサッカー教えて!」

「そんな簡単に上手くなると思わないでよ!」

「うん!頑張る!」

「んじゃサッカーの基本動作の蹴る止めるからね!」

そう言って飛鳥へ弱いパスを出すと初心者とは思えない柔らかいトラップで足下にピタリと止めしっかり奈々未の足下へ帰ってきた

(弱すぎた?次は少し強く。)

そう思いながら次は少し強く蹴ってみると同じ様に足下へピタリと止めた。

「飛鳥、トラップ練習した?」

「してないよ。ボールもこんなにまともに触ったの初めて」

そう言いながら奈々未の足下へボールを送る。奈々未は何も言わず試合中相棒白石へ渡すようにボールを蹴る。
グラウンダーの低い弾道でバックスピンの掛かった初心者にトラップは不可能なボールだったが難なく足下で止め飛鳥も真似をするように同じ様なボールで返した

「飛鳥、あんたセンスあるよ!今からでもいい!乃木高でサッカー部に入りなさい!」

「私サッカーが上手くなりたいだけだから別にいい。」

「サッカーは1人でも2人でも出来ない。11人でするモノだから。私と2人でボール蹴ってるより上手くなるはずだから!ね!」

「わかったよ。」

渋々了承した飛鳥は乃木高女子サッカー部に入りサッカー暦たったの2週間で夏のインターハイで名門のベンチ入りメンバーに選ばれた。乃木高の『JOKER』として。

天性の足元の技術、修二似の俊足と決定力、奈々未似の視野の広さとパスセンス、初心者故にセオリーに囚われないアイデア。
飛鳥は生まれながらに存在そのものが奇跡の革命的美少女として知られるのはそう遠く無い話しだ。

インターハイ予選決勝0対0で後半残り10分。乃木高はその『JOKER』をピッチに送った。

相手陣地で乃木高のスローインで逆サイドの飛鳥が貰いに来る、当然フリーだ。そのまま飛鳥は密集地帯のペナルティーエリア中へ切り込みディフェンスが誰が行くかアイコンタクトをして迷っている隙にディフェンスの股を抜きながらシュート。飛鳥投入15秒。欲しかった先制点をあっさり決めてしまった。
後の無くなった相手は攻めに切り替えるが美波がパスをカットし前を向くと飛鳥の背中が見えた。パッサーとしての本能だろう反射的に美波はグラウンダーの強いパスを飛鳥へ送った。難なくトラップし持ち前の俊足で相手をブッチギリキーパーと1体1。キーパーが出て来る瞬間顔の真横に強烈なシュートを放ち2点目。
イケイケムードな乃木高はリスタート直後相手の弱気なバックパスを絵梨花がカットでショートカウンター。もう会場も相手選手も味方までその目には飛鳥しか写って無かった、絵梨花は飛鳥へ渡すとワンタッチでディフェンスを背負ったトップの真夏の頭へ浮かしたパス。それを真夏が飛鳥へリターンすると真夏と真夏が背負った相手選手に被ってキーパーの死角に入るとそこから右足を振り抜きゴール右隅に決めた。そこで試合終了のホイッスル。たった10分でハットトリックを決めた飛鳥はこの試合をきっかけに全国で知らない者は居なくなり、異名を『JOKER』と呼ばれるようになった。

全国大会では全試合フル出場の真夏と並び全試合平均15分程の飛鳥が同率得点王。MVPは大会最多アシスト数の記録を大幅に更新した絵梨花だった。


そこから飛鳥がU-18に呼ばれるのは時間の問題だった。そしてイングランドでU-18の強化合宿をする事になり練習していると偶然通りかかったシティWFC監督の目に留まり、国際大会未経験ながらサッカーを初めてまだ1年程と言う伸び代を買われシティと契約する事に。


東魁 ( 2020/08/19(水) 22:27 )