第3章【新天地編】
29話
それから半年後YouTubeやTwitter、インスタなどに度々口元だけ見える覆面マスクをした謎のストリートフットボーラーの姿が出てくる。ブラジルを中心に数々のストリートフットボール大会やフリースタイルフットボール大会の優勝を掻っさらい謎のマスクをしたフリースタイルフットボーラーはサッカー業界から注目される。
そんなある日、プレシーズンで日本に来ていた松村悠人、白石蒼、生田翔太、秋元拓真の天才4人が興味本位で出たストリートフットボールの世界大会に出るとSNSで有名になっていた覆面マスクを被った謎のフリースタイルフットボーラーが出場していた。

プロも出ると言うという事で会場のボルテージはMAXだった。悠人、蒼、翔太は順当にベスト4まで勝ち進んだが最後の枠をマスクをした選手と拓真の対戦でマスクをした選手が一瞬で拓真の股を抜き決着が着いた。
次戦は翔太とマスクをした選手が対戦、股を抜かれはしなかったもののマスクをした選手が3分で8点、翔太が2点と大きく点差がでて敗退。
蒼と悠人は悠人の股抜きで開始30秒で決着。
決勝は悠人の攻撃から始まり難なく1点取るとマスクをした選手も負けじと悠人の隙をつき取り返すと悠人がある違和感に気づく。
悠人はそれを確かめるべくミスと思わせてワザとマスクをした選手にボールを取らせた、攻撃のチャンスとトラップをするとそのままゴールにぶち込む。するとマスクをしているので目元は見えないが口元は明らかにあのイタズラな笑顔のそれだった。
悠人は疑いが確信に変わり自然と笑みが溢れると他の3人もそれに気付いた。
悠人が点を取るとマスクをした選手はリスタート直後に素早いダブルタッチで股抜きし見事優勝したマスクをした選手は観客の方を向きアピールしていた。
その時、後ろから悠人がマスクを奪い取った

「なにしとんねん修二」

マスクを取られた修二は「やっぱバレてたかー。」
そう言うと会場にいた記者やサッカーファンは橋本修二だと大騒ぎになり優勝インタビューどころでは無かった。
見かねた悠人は修二達と裏の控え室まで連れて行き再会を喜んだ。
「再会はめっちゃ嬉しんやけど、せめて家族にくらい連絡した方がええんとちゃうか?」

「そうだな。今日家に行ってみるよ」

「それより、七瀬になんて言うんだ?」

拓真は心配と怒りの気持ちで言った

「七瀬は頑張ってるか?」

修二が下を向き悲しげに言うと蒼が修二を殴り胸ぐらを掴んだ

「七瀬は頑張ってるかって、頑張ってるに決まってるだろ。七瀬は今ヨーロッパでも有名な画家の元で修行しながら栄養士の資格やカウンセリングの資格取ろうと必死に頑張ってるんだ。もう修二は居ないのに頑張ってるのはお前がこっちに戻ってくるのを信じて待ってるんだ。でもな、俺らはそんな優しくねーぞ。修二がフラフラしてる間にどんどんレベルアップしてるんだからな。」

修二はかつてのライバルがまだ自分をライバルとして見てくれる事、七瀬が頑張っているだけでなく自分を信じて待ってる事。
涙が溢れながらイタズラな笑顔で

「俺もフラフラしてた訳じゃないって事教えてやるよ」

「せや、飯行こうや!そこで修二がどこで何してたか聞こうやないか!」

5人は一晩中語り合った。

次の日の新聞やニュースに元レアルで元日本代表でもある橋本修二があのマスクをしたストリートフットボーラーだったと報道されていた。
中には批判的な事を意見する者も居たが、修二は気にしなかった。すると修二の元にプレシーズンで日本に来ていたあるチームから声が掛かり練習に参加する事に。

「待っていたよ修二。」

「グアルディオラ、、、本物だ。」

「おいおい、当然だろ?君の事はあの事件から知ったけど、今ではレアルより君の事については詳しいと思うよ。早速だが、練習参加という名のテストだ。君が知っての通り今のシティは絶望だ。それでも入団したいのなら全力で君の力を見せてくれて。」

「当然です!」



東魁 ( 2020/08/01(土) 16:33 )