27話
試合は2対1で数的有利のユベントスが勝利し優勝するも表彰台にキャプテンマークをつけたキングはおらずそそくさとロッカールームへ帰っていった。
その日修二は自分のした事に対して反省するしか無かった。
気まずいロッカールームに1人で落ち込んでいるとちらほらとチームメイトも戻ってきた。試合が終わったことを察したが誰も修二に何と声をかけて良いか分からない中ノアンがロッカールームに入ってきた。
「いやー、負けたな!修二、もしかして自分のせいだと思ってる?」
「いきなりいじってくる奴があるかよ。当然だ、それは俺が1番分かってる」
「何自惚れてるの?」
「は?」
予想外の言葉に目が点になる修二だがノアンは続けた
「いつから修二だけのチームになったんだ?俺たちは最善を尽くした。気にするな。」
自然と出る涙を拭くことも忘れ呆然とする修二、それに続くようにチームメイトからもお前のせいじゃないとエールをもらう。
「みんな、ありがとな。」
「よし、今日は大人しく帰って明日から練習だ!」
「「「おう!」」」
それぞれ荷物をまとめ外のバスに向かう途中の記者の囲みに対応していた。修二はバスで帰らず裏口から出てみんなと合流した。
「お兄ちゃーん!」
「修二!」
振り返った修二に2人は飛びかかり、取り合う2人を他所にみんなそれぞれのチームに戻るため別れを言い合った
「次はトップチームでみんなと戦いたいな」
「1点もやらん!」
「翔太と拓真のチームはCL出場権獲得しねーとな!」
「次に会うのは蒼、修二はCL本戦で、翔太と拓真は代表戦やな。みんなそれぞれ頑張ろうや」
「あぁ、またな」
誰も修二が負けたことには触れず解散した。家族と七瀬でご飯に誘われたがそんな気分でも無かったから断ってしまった。
冷たくしてしまったと思いながらレアルの寮に帰る途中後ろから声をかけられた
「シュウジハシモト」
「ん?」
暗い路地で声をかけられたため警戒して振り返るとキングが居た
「どうした?わざわざ笑いに来たのか?」
「マリオにマークを指示したのは俺だ。だがあそこまでやるとは思わなかった。すまない」
嫌味を言われると思った修二はビックリしすぎて声が出なかった。
「どうせ敗者のことなんて誰も覚えてない。記憶に残るのはいつも勝者だけだ。ロナウドさんもそう言ってただろ。勝ちにこだわったお前たちの勝ちだ。俺は幼稚な考えでチームを負かした戦犯だ。キング、お前が気にすることじゃない。」
「俺はあんな形で勝ったなんて思ってないぞ。次はCLだ。トップチームで会おう」
(お前は俺のライバルになり得る選手だ)
「ありがとよ。レアルに俺の居場所が残っていれば最高の舞台でまた会えるかもな」
修二はそう言い帰路に就いた
「キング、もう良いのか?」
「すまない、ハルク待たせたな。」
「いやー、ロッカールームに先帰ってると思ったらマリオをいきなり突き飛ばすからビックリしたぞ!」
「マリオは俺の指示に従った。だが一線を超えるなと言う俺の助言を無視した。キャプテンとして、チームメイトをコントロール出来なかった俺の責任だ。俺はシュウジハシモトと正々堂々本気で戦いたかったんだ。」
「まー、反対しなかった俺も悪りぃなあんま気にすんな」
「マリオを試合中突き飛ばした時言ってたんだ。(あいつはヤバイ。キングやロナウドさんと同じものを感じた。)ってな、あいつの性格は問題しか無いがプレイヤーとしての勘や目に関しては一流だ。だからこそマリオが許せなかった、やっと同世代のライバルと言える存在が居たのにあいつはそれを潰そうとしたんだからな。」
「へー、俺は眼中に無し?」
キングが真剣な顔で話していると後ろから声をかけられた
「ノアンか。現状はお前が1番厄介だ」
「修二の退場が無ければ今日の試合どちらに傾くか分からなかったからね」
「確かにな。お前とはライバルだと思ってる。これからの対戦が楽しみだ」
そう言うと2人は去って行った