第2章【クラブワールドカップU-18編】
21話
パリ・サンジェルマン戦

レアルはパリサンのポジションを見て想定外のことが起きてることに気付いた

「ジダンがトップ下に居るぞ」

「て事は僕は一列下がってマークするよ。攻めは修二に任せるね」

「任せろ!悠人の奴をブチ抜いてやる」

DMFのジダンがトップ下に着く事で前線でプレスを掛けられレアル側はボールの落ち着き所に苦しんでいた、優先的にノアンへのパスコースは潰され良い形に持っていけない、仮に通っても強靭なフィジカルで飛ばされてしまう。修二も悠人からマンマークを受け、裏に抜け出そうとするとセンターバックが潰しに来る
しかしノアンのフリーキックも危険だと相手もわかっている様で、危険な場所ではファールに踏み切る事はないため試合も動かない。

すると、前半ロスタイムに相手の集中力が切れたのか、相手陣地中央付近でのスローインをノアンがカットし修二へと鋭いパスが通る。
あとワンプレーで前半が終わるため観客も盛り上がった

「修二!抜いたれ!!」

七瀬の声に背中を押されたのか、ストライカーの本能か。
ボールを貰った修二は潰しに来るセンターバック2人を抜き去りそのままペナルティエリアに侵入、強烈なシュートを放つとそのボールはキーパーにもゴールにも触れず、センターバックを抜いていたあの僅かな時間で戻ってきた悠人のスライディングに阻まれラインを割った

「あの一瞬で追いついたのかよ」

「やから言うたやん、試合が始まればわかるって」

他の選手がロッカールームに帰っていく中、2人はその場で立ち止まり睨み合ったかと思えばお互いに頬が緩みそれぞれロッカールームへ向かって行った


後半
ノアンの癖やパターンを見抜いたのか、前半までパリサンのツートップにジダンからのパスは0だったが、後半になってからは8本も通っており、パスの通った回数が増えるたびに良い形に持っていかれている

「ジダンのパスが通るたびにFWの動きが明らかに良くなってるよな。」

「修二も気付いた?これが前に言ってた魔法のパスだね。もう通させないから、安心して。」

ノアンは宣言通りジダンを抑えていたが、逆にノアンもジダンからマークを受けており、お互い突破口が無かった。そして後半ロスタイム、相手陣地の中央でノアンにボールが渡り攻撃開始かに思われたがジダンのタックルにノアンが飛ばされてしまいフリーキックに

「修二、練習の成果見せてやろう」

「ま、マジ…?」

修二は咄嗟に弱音が出て、ここでやるの?と言いたげな顔をしたが、「いや、やってやるよ。」と腹をくくった、この顔になると何かやってくれる、そんな期待感がノアンにはあった
ボールをノアンがセットし、ゴールから見て右にノアン左に目を瞑った修二がいた

「おいおい修二、なんの冗談や」

「あいつのフリーキックなんてデータに無いぞ。」


修二(俺は点を決めるのが仕事だ。どんな形であれどんな状況でも1点でも多く。俺が目標にし越えるべき選手はそう言ってたっけな。)

試合を再開させるホイッスルが鳴ると深呼吸をし目を開け修二は力強く踏み込んでキックを放つ。鋭い弾道のシュートが壁を巻いてゴール左上に突き刺さった。

0対0のロスタイムこの重圧の中少年が1人覚醒し試合が終了した

レアルの選手はみんな修二に群がり揉みくちゃにしていたが自然と修二の顔はイタズラな笑顔で笑っていた

東魁 ( 2020/07/19(日) 10:04 )