第1章【高校編】
9話
準々決勝

相手は大阪代表の難波高校、U-18に選ばれている2年生エースの山本 彩葉(やまもと さやは)と2年生DFの渡辺 美優紀(わたなべ よしゆき)の2人を中心にとてもバランスのとれたチーム
相手チームのキックオフで試合が始まりエースの山本でフィニッシュを狙うシンプルかつ1番効果的な作戦に翻弄されるも翔太のマンマークで良い形でシュートまで持って行けない難波高校、だが乃木高も渡辺のマンマークで修二が苦しんでおりそのまま前半が終了した。

「今のままじゃいずれ点決められるで!ディフェンスもっとシャキっとせんかい!ミルキー任せはアカンやろ!」

「彩兄の言う通りやけど、あいつ止めれるんは僕以外いない。頼む、橋本修二は僕に任せてくれ!」




「珍しく苦戦してるのかい?修二」

「ちげーよ!あの野郎相変わらずネチネチとめんどくさいディフェンスしやがって」

「あれ?知り合いだったっけ?」

「U-15の世代別代表に呼ばれた時、13歳で選ばれたのは俺とあの2人と後3人呼ばれたんだ。その中の1人があの渡辺だ、あの時はSBだったが確かに守備は上手かった、でも俺にマーク付いてる時笑ってんだぜ?ホント気味の悪い奴だ…」

「へー、その時も抑えられたんだ」

翔太の挑発的な言葉に修二はムッとした表情で言葉を返した

「んなわけねーだろ!俺のハットトリックで勝ったよ」

「あれ?決めれたの?それはごめんごめん!なら今日も決めないとね」

「上等!あの時も後半で3点決めたんだ、悪夢の再現してやるよ」

ハーフタイムを終え修二はムッとした表情のままポジションにつくと後半開始のホイッスルが鳴った
修二から翔太へボールが行くと前半までディフェンスをしなかった山本がボールへ向かって走ってきた、
山本は修二と同種の選手だ、イライラが溜まり突っ込んできたのだろう
翔太はボディフェイントだけで山本をかわし修二へとボールを戻した
ボールをもらった修二は獅子の威厳を見せつけるかの如くドリブルの緩急だけで2人を抜き去り渡辺がカバーに入り誰もが一対一かと思われた瞬間、ペナルティエリアから10メートル弱離れたところでシュートを放った
キーパーの反応も悪くは無かった、ただ届かなかった
ゴールネットと観客を揺らした一撃は誰もが眠れる獅子が起きた瞬間だと思った

「ミルキー、、」

「ごめん!さや兄!次はもっと早くプレッシャーかける!」

空元気なのかまだ残ってる闘争心なのか、本人にしかわからない、ただ言えることはチームの士気が格段に堕ちた事だ、監督に先制点を取って守り抜く作戦が獅子の寝起きの一発でつぶされたのだから

一気に流れが乃木高に傾き最後まで攻め続け試合終盤に翔太とキャプテンで追い討ちの1点

2対0で乃木高勝利





準決勝

相手は去年の準優勝校、福岡代表の博多高校、九州の有力選手を掻き集める高校として有名で、スタメン全員が世代別代表に選ばれた経験のあるチーム、U-18でもこのチームでもキャプテンで飛び級U-23のMFの指原 麗央(さしはら れお)とU-18の2年生DFの児玉 春樹(こだま はるき)、U-18の2年生エースの宮脇 咲夜(みやわき さくや)を筆頭に未来の日本代表候補が何人もいるチーム


相手チームからのキックオフで試合が始まると流れるようなパスワークでペナルティエリア少し手前の指原へ渡るとエース宮脇がゴール左側へ走り出す、走り出した宮脇に翔太がマークへ向かうとキーパーも宮脇に目線が行った、その瞬間指原がマークについていたキャプテンの股を抜きながらゴール右側へシュートを放ち先制点を取られた。今大会ここまで無失点だった乃木高は開始4分で1点、その5分後に同じ様な形で指原に渡り今度は鋭いスルーパスで宮脇に渡り2点目を取られた

「翔太、俺では指原は手に負えない。マークチェンジでいいか?」

「僕もキャプテンには荷が重いと思ってましたから良いですよ」

「早く俺にボールくれよ〜!さっさと逆転してやるから!」

「ったく、生意気な後輩達だな…頼んだぞ」


去年の決勝カードというのもあり観客が大勢入っており観客席は指原の股抜きゴールから博多高校ムード一色だった、そんな中七瀬、飛鳥、星野が応援に駆けつけていた

「お兄ちゃん達大丈夫かな?」

「大丈夫!修二達なら必ず勝つで!」

「なーちゃんの言う通り!みなみの修二くんだもん!」

「それは聞き捨てならんで」

「な、なーちゃん落ち着いて!今はお兄ちゃん達の応援しよ!」


ピッチの中は指原を除いて博多高校全員が既に勝っただろうと慢心しており、余裕のある表情の選手、ニヤニヤした選手が居たが乃木高は至って冷静で逆転できると言う自信と程良い緊張感を持ってリスタート


お互いにボールを奪ったり奪われたりを繰り返していた時、前半終了5分前、1点目のお返しとばかりに翔太を中心に速いパスであっと言う間にペナルティエリア内の修二に渡る

ここまで今大会無失点だった両者の記録がこの瞬間無くなった

いつもゴールを決めたらアピールする修二だったが左隅に流し込んだボールを持ってリスタートを早めた


「お兄ちゃんナイスシュート!」

そしてまたその5分後、乃木高はボールを奪い今度はキャプテンのセンタリングに修二の強烈なヘッドで2点目、そのまま同点で前半が終了し会場のムードは最高潮だった

「宮脇、シュートチャンスしっかり作っただろう?なぜ決めれない。児玉、まともに修二に抜かれてないのは合格だ、後半も任せたぞ。」

「指原さんのパスがトロいからじゃないですか?」

「宮脇、そんなに人のせいにしたいなら自分のやるべきことをやってからにしろよ」

「指原も宮脇もやめろ、今は冷静になって勝つことを考えろ。監督命令でベンチに下げるぞ」

ピリピリした空気の中ゲームは後半へ

後半戦はファールも試合が止まる事もなく、両チーム得点に結びつくアクションがないまま時間だけが刻々と過ぎていき1分のロスタイムに入り誰もが延長戦かと思った時。後半に入ってから1度もボールに触れてなかった獅子へ戦艦の舵取り役からのパスが通った、それを察知した指原の声がペナルティエリアに響いた


「児玉!橋本だ!」

「!?!?」

〜〜〜児玉〜〜〜〜

油断はなかった、ただ一瞬、ほんの一瞬目を逸らした隙に獅子にボールが渡った。
だが、自分含め3人のDFで獅子を囲んでいる。その気持ちが一瞬出てきたがそれを押し殺し後半のミーティングであの獅子は任せた、監督からそして指原さんからその言葉を貰った時ワクワクとドキドキが同時に来た。だが甘かった。こいつの威圧感、タメとは思えないオーラ、ボールを持った獅子と対峙するだけで実力差がわかる。これは決められる。

〜〜〜〜〜〜〜

ボールを蹴った音とは思えないくらい大きな音を立てて、児玉の股を抜きそのままゴールへ突き刺した

秋葉原と戦った時と同等、いやそれ以上の歓声でゴールを祝福された

その瞬間長いホイッスルと共に2対3で乃木高の勝利が決まった



東魁 ( 2020/07/13(月) 15:37 )