4話
強烈な音と同時にボールは前がかりになっていたキーパーの真上を嘲笑うかの様に通り過ぎゴールバーの下に当たりそのままゴールラインを割ったそれと同時に試合終了のホイッスルが鳴り響く
先制ゴールより更に大きく騒がしく会場から歓声が湧き上がるが敵味方含めピッチの中では修二を除く全員が唖然とし、我に返った味方から修二の元へ走って行った
次の日、地元のスポーツ紙にレアルの若獅子ココに有りと予選にもかかわらずデカデカと載っていた
学校へ行くと修二が通るだけで大騒ぎになり、女子は手紙を男子からは中身のない会話を受けていた
そんな頃
「なーちゃん!モタモタしてたら他の子に取られちゃうよ!」
「せやけど、いくちゃんみたいにうち可愛くないし、真夏みたいにモテてへんもん…」
「じゃあ私が取っちゃおうかな〜」
「そ、それは!アカンよ真夏…」
「じ、冗談だよ!なーちゃん泣かないで!」
冗談が通じないほど悩んでいた七瀬に協力しようとあれこれ案を出していた絵梨花と真夏を他所に修二が現れた
「な、七瀬、今日監督に呼ばれてるから校門で待っててくれねーか?話もあるし…」
「う、うん。ええで!」
修二の唐突な誘いに困惑しながらも七瀬は答えた
〜〜〜七瀬〜〜〜
オッケーしてもーだけど、話ってなんなんやろう…彼女出来たとか?あー、アカン…変なことばっか考えてまう…気になって修二の顔見れへんし、どうしよう…
「お、おい、大丈夫か?」
授業中に頭を抱えながら考えていた七瀬へ修二が言うと、顔を背けながら大丈夫とだけ答え、そのままペンを走らせた
〜放課後〜
「わりぃ、待たせたな」
「ううん、監督に呼ばれてたんでしょ?なんだったの?」
「いや、大した話…ではないよ」
「…行こ?」
急によそよそしくなって、修二はなんも思わんのかな?それともやっぱなんかあったんかな?そんな事を考えてしまってはいつもの様に振る舞うほど器用では無い七瀬
いつも帰り道は色んな話をして盛り上がるのに元気のない西野に修二が
「七瀬、なんかあったのか?」
「な、なんもないよ!」
「嘘ついてもわかるよ、どう見てもいつもの七瀬じゃないよ」
「修二こそ、急に話あるってどないしたん?」
少し間が空き、修二は言った
「俺さ、スペインに戻る」
「え?」
急な話で更に困惑した顔でそれが話?と聞き返すも修二は頷いた
「そんな、せっかくまた修二と居れると思っとったのに…」
「だ、だから悔いは残したくないから言うな、俺さ七瀬のことが好きだ」
「え?」
「だから、七瀬が好きだ!俺がサッカーで世界一になったら結婚してくれ」
自分の好きな人が好きと言ってくれたこと、その好きな人が突然離れていくこと。一瞬何が起こったかわからなくなった七瀬だが答えは決まっていた
「うん、ちゃんと1番になって迎えに来てな?」
涙を目に浮かべながら笑顔でそう言い、約束した
「おう!七瀬も待っていてくれよ!」
「うちな夢があんねん」
「珍しいな、ネガティブな七瀬の夢か」
「画家になりたい、修二に負けないくらいたくさん努力して、結婚する時に修二にはもったいない!って言われるくらいの人になりたい!」
「そっか!お互い頑張ろうぜ」
「うん!」
もうすでに俺にはもったいないくらいなんだけどな…
そう思いながらお互いの夢の話や明日の試合、今大会で優勝してやるなどの話で盛り上がり、少し遠回りしながら帰った