乃木坂高校












小説トップ
第8章
2人の秘密
美波「おーい!お肉焼くよ〜!」
起こした火も程よい火加減になり、やっとの思いでBBQが開催される。

桃子「わーい!お肉だぁ〜!」
祐希「いっぱい食べなきゃ!」
準備が出来るまで遊んでいたメンバーが戻ってきた。

和也「美波、トング貸して?」
美波「えっ、うん。はい」
和也はお肉を焼こうとしていた美波からトングをもらう。

和也「俺が焼くから美波はゆっくり食べて?」
美波「でも、和也くんも火を起こしてくれたし」
和也「いいの。それに、油が飛んで、綺麗な腕に火傷が出来たら大変でしょ?」
和也はそう言って美波に微笑んだ。
美波「……。ありがと…。」
美波は少し照れ臭そうにしてお礼を言った。

桃子「あれ〜?みなみん、顔が赤いよ〜?」
美波「火の近くにいて熱くなっただけだから!ほらっ、いっぱい食べるよ?」
照れて赤くなった顔を誤魔化して、美波はサラダを食べ始めた。

『ジュ〜〜』お肉の焼ける音と、香ばしい匂いがみんなの聴覚と嗅覚を刺激する。

美月「和くん、まだぁ〜?」
和也「もうちょっとだよ」
祐希「どれが豚でどれが牛??」
和也「これが豚でこれが牛」
待ちきれないメンバーがコンロの周りを囲む。

和也「うんっ!焼けたよ!」
和也の合図と共に、『いただきまーす!』と一斉にお肉を食べ始めた。

史緒里「うん!美味しい〜!」
遥香「本当ですね!いい焼き加減!」
和也「ありがと。はい、さくら」
出遅れたさくらの皿に和也はお肉をのせる。

さくら「えへへっ、兄ちゃんありがと!」
遥香「あー!さくちゃんだけ和くんに取ってもらってずる〜い!」
さくら「いいでしょ〜!」
さくらは自慢気な顔をして、嬉しそうにしている。

遥香「いいなぁ〜!さくちゃんのは私が取ってあげるから、それちょうだい?」
さくら「だめ〜!!これは私のお肉!」
楽しそうな遥香とさくらを見て、遥香を呼んで良かったと思った。

その後、食欲旺盛なみんなのお肉を焼き続けて、一旦食休みに入る。

「ふぅ〜!」和也は疲れ切った身体を椅子に座らせて一休みする。
すると、「はい!」とお肉の乗ったお皿が視界に入った。

史緒里「焼いてばかりで食べれてなかったでしょ?和也くんの分取っておいたよ」
和也「ありがと。すごくお腹減ってたんだ」
史緒里「ちょっと冷めちゃったけどね?」
和也「ううん、大丈夫だよ!いただきます!」
和也は次々とお肉を口の中に入れていく。

史緒里「ふふっ、タレが口の周りについてるよ?」
史緒里がハンカチで和也の口の周りを拭いた。
和也「あ、ありがとう…」
和也は少し恥ずかしくなり、史緒里から目を逸らした。

すると、『ジーッ』と見られている視線を感じる。
和也「な、なんでしょうか?」
美月「なーんか、最近の和くんと久保が怪しいんだよね〜?」
視線を送っていたのは美月だった。
史緒里の地元に行って以降、2人の距離が近くなっていたので、美月は不思議に思っていた。

和也「前からこんな感じじゃなかった?」
史緒里「そ、そうだよ!」
美月「う〜ん」
この様子からすると、美月は全く納得していない。

こういう時の美月は鋭かった。女の勘と言うものなのか、美月は人一倍感知能力が高かった。

史緒里「山下ほどじゃないよ!山下が和也くんと1番仲がいいでしょ?」
美月「えーっ、そうかな〜?」
美月は嬉しかったのか、笑みを隠しきれないでいる。
そこに、さらに史緒里がたたみかける。

史緒里「今度、山下もデートするんでしょ?デートプランは考えた?」
美月「あっ!しまった!!忘れてた!すぐ考えなきゃ!」
美月はその場を離れて、自分の鞄が置いてある所に戻っていった。

史緒里「ふぅ〜。焦ったぁ〜」
史緒里は和也の横に座って、安堵の表情を浮かべる。

和也「ほんとだね。めちゃくちゃ焦ったよ」
史緒里「あの日の思い出は私と和也くんだけの思い出にしたいんだ。だから、山下には申し訳ないけど、2人の秘密にしたいな…」
そう言って史緒里は和也を見つめた。
和也「そうだね。2人の秘密で」
史緒里「うんっ!これからもいっーぱい、2人だけの秘密を増やしていこうね?」
史緒里は和也から箸を取って、和也の口にお肉を近づけたのだった。

■筆者メッセージ
皆さん、たくさんのリクエストありがとうございます!
少しずつになってしまいますが、期待に応えれる様に頑張ります!
しゃもじ ( 2022/03/01(火) 12:04 )