乃木坂高校












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第8章
寂しい笑顔
史緒里の地元、宮城県のお祭りに来た和也。
そこで、史緒里の幼馴染とその彼氏に会い、お祭りを一緒に行くことになった。

史緒里「彼氏さんのどこを好きになったの〜?」

繋いでいた手を離し、史緒里は友達と歩いていた。
和也はその後ろを歩き、彼氏は少し前を歩いていた。

まさみ「うーん、あー見えていい人だと思ったんだけど…」
史緒里「けど?」
まさみ「最近自信が持てなくなってきた」
史緒里「そ、そうなんだね」
史緒里は少し気まずそうにする。
まさみ「史緒里は?彼氏さんのどこが好きなの?」
史緒里「えっ!?私!?」
まさみ「あんた以外に誰がいるのよ!」
史緒里「私はその…てか、彼氏とかじゃなくて…」
史緒里は和也の方をチラチラ見ながら、顔を赤くする。
まさみ「ふふっ、史緒里は変わらないね」
和也はチラチラ見てくる史緒里を不思議そうな目で見ていた。

史緒里「和也くん!ここだよ!」
お祭り会場に着くと、周りは出店や沢山の人だ賑わっていた。

和也「へぇ〜!すごい賑わってるね?」
史緒里「地域の人がほとんど来るからね!」
空も少し暗くなり、提灯の灯りが目立ち始める。

史緒里「あっ!これ可愛い〜!」
史緒里は出店の景品のぬいぐるみを見つけて、お店の前に駆け寄った。
まさみ「本当だ!可愛いね〜!でも、取るの難しそうだね…」
この出店は出店としては珍しいストラックアウトを出していた。

史緒里「それなら大丈夫だよ!か…」
史緒里が和也にお願いしようとすると、「おっ、なになにー?」と友達の彼氏が近寄ってきた。
彼氏「おっ!ストラックアウトじゃん!俺、これ得意なんだよね〜!」
そう言って得意げな顔をしていた。

彼氏「ねぇ、ちょっと勝負しない?」
和也「勝負…?」
まさみ「ちょっと!そういうのいいから!」
彼氏「いいじゃん!減るもんじゃないし!なっ?やろうぜ?」
和也「は、はぁ…」
友達の彼氏とストラックアウトで勝負する事になった。

彼氏「じゃあ、俺からやるわ!」
と自信満々にやり始めた。
まさみ「史緒里、ごめんね…?」
史緒里「ううん、大丈夫だよ!それに和也くんなら」
まさみ「んっ?彼氏さんがどうしたの?」
史緒里「まぁ、見てて?」
2人は後ろから和也を見ていた。

彼氏「あちゃ〜、6枚しか抜けなかったぜ。調子悪かったかな〜!」
満更でもない顔をしている彼氏。

彼氏「はい、次はキミの番」
和也の番になり、和也は史緒里に荷物も持ってもらう。
和也「ちょっとだけ持っててくれる?あと、ごめんね?」
史緒里「う、うん。なんのごめん?」
和也は少し寂しそうに笑って行ってしまった。

和也は出店の人からボールをもらい、一球目を投げた。
そのボールは見事に真ん中の5番を抜いた。
彼氏「へぇ〜、やるじゃん!」
まさみ「んっ?なんか凄い綺麗なフォームだね?」
史緒里「さすがだね。野球部のマネージャーだけあります!」
史緒里は和也の姿を見て、少し安心していた。

しかし、その後。
彼氏「あーあ、1枚だけだったか〜!まあ、素人はこんなもんだよな〜!」
和也が抜いたのは初めの1球のみだった。
勝って嬉しそうな彼氏に対して、史緒里の友達は驚いた表情をしていた。

まさみ「ねぇ、史緒里。史緒里の彼氏ってすごい人なの?」

よく見ていた人だけが気づいた和也の凄さ。
的に1球しか当たらなかったが、投げた球は全て同じど真ん中に投げ込まれていた。

史緒里「うん…。中学の頃日本代表だった人…」
まさみ「えぇ!!もしかして、遠藤和也ってあの!?」
史緒里「まさみ知ってるの?」
まさみ「知ってるも何も、中学野球をやってれば、絶対1度は名前を聞くって!」
史緒里「そ、そうなんだね」
史緒里はまさみの興奮具合に少しびっくりする。
まさみ「んっ?でも、なんで負けちゃったんだろう?」
史緒里「私も気になってたんだよね…」

そんなことを話していると、和也が戻ってきた。
和也「ごめん。ぬいぐるみ取れなかった」
史緒里「ううん、お疲れ様。あのさ…」
史緒里は和也に話を聞こうとすると、「あー、身体動かしてはお腹空いちゃったよ!何か食べない?」
話を逸らされてしまった。
史緒里「う、うん!お腹空いたね?」
史緒里は和也の行動を気になりながらも、和也の後を着いて行った。

■筆者メッセージ
久保ちゃん編、少し長くなりそうです。

今日はもう一回投稿するかもです!
しゃもじ ( 2022/02/05(土) 12:09 )