地元
ある日の早朝、まだ空が薄暗い中、和也は駅に向かっていた。
駅が見えてくると、少し離れた所からでもわかる程の肌の白い女性の姿が。
和也「ごめん。お待たせ」
史緒里「ううん、私も今来た所だよ。おはよ!」
和也「おはよ」
史緒里「んっ?何かついてるかな?」
和也は無意識に史緒里の服装を見てしまっていた。
和也「ううん、なんかその服似合ってるなって…」
史緒里の服装はロングスカートのワンピースで、青の柄が付いた夏っぽい服装だった。
史緒里「いきなり恥ずかしいよ…」
史緒里は白い顔を赤くして俯いた。
和也「いきなりごめん。それじゃ、行こっか?」
史緒里「うんっ!!」
2人は改札口を抜けて電車に乗った。
史緒里「まさか、和也くんと地元に行ける日がくるなんてなぁ〜」
和也「宮城いくの初めてだからすごく楽しみだったんだ」
史緒里「そっか!嬉しいなぁ〜。和也くんの宮城のイメージはどんなの?」
和也「うーん、牛タンかな?あとは、仙台ラーメンにずんだ?だっけ?」
史緒里「ふふっ、食べ物ばっかりだね?」
和也「確かに!でも、全部美味しそうだよね!」
史緒里「全部美味しいだっちゃ!」
和也「だっちゃ?」
史緒里「あっ!ごめん!方言が出ちゃった」
和也「宮城はだっちゃって使うの?」
史緒里「うん!宮城の話をするとつい出ちゃうんだよね」
和也「へぇ〜、可愛いね?昔、流行ったアニメみたい!」
史緒里「そうかな…?」
和也「他にはどんな方言があるの?」
史緒里「うーん、たべとか?いざ聞かれるとわかんないかも!」
和也「宮城に着いたら、史緒里の方言がいっぱい聞けるかもね?」
史緒里「そんな改めて言われると恥ずかしいっちゃ」
照れている史緒里を見て、和也は微笑んだ。
その後、新幹線に乗り換えをして、史緒里の地元、宮城県に着いて、そこから更に電車に乗り、史緒里が生まれ育った街に着いた。
史緒里「んーっ!着いたぁ〜!懐かしい匂いだな〜!」
史緒里は身体を伸ばして、地元の空気を身体全体に行き渡るように呼吸をする。
和也「へぇ〜、なんかすごい落ち着く所だね?」
史緒里「でしょ?いい所なんだよ!本当は和也くんと行きたい所いっぱいあるんだけど、時間がないからなぁ〜」
史緒里はそう言うと少し寂しそうな表情をする。
和也「また今度ゆっくり案内してくれるかな?」
史緒里「うんっ!あっ、お腹空いたよね?お祭りが始まるまでまだ時間あるし、何か食べる?」
和也「牛タン!牛タン食べてみたい!」
史緒里「りょーかい!なら、とっておきのお店に連れて教えてあげる!」
和也「やった!楽しみ!」
史緒里「それじゃいこっか?」
こうして、和也と史緒里の笑って泣いての宮城プチ旅行が始まった。