乃木坂高校












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第7章
寂しがり屋と甘えん坊
その日の夜、和也は夏休みの宿題を進めていた。
『コンコン』いつもの様にドアがノックされる。
和也「さくら、どうした?」
部屋に来るのはさくらしかいない。
ドアが開く前に和也が返事をする。

さくら「兄ちゃん、お勉強教えて?」
さくらは宿題を持って部屋に入ってきた。
和也「うん、いいよ」
和也は勉強机からテーブルに移動した。
そして、さくらが和也の隣に座る。

さくら「くんくん。んっ?あやちゃんと同じ匂いがする」
隣に座ると、さくらは和也の頭の匂いを嗅いだ。
和也「どんな嗅覚だよ…」
さくら「あやちゃんのシャンプーの匂い、いい匂いだからわかるよ?」
和也「そうなんだ。出かけた時に汗かいたから、あやめの家でシャワー借りたんだ」
さくら「そっか。楽しかった?」
さくらは少し暗い表情をした。
和也「うん。楽しかったよ?さくらは飛鳥さんと遊んだんでしょ?どうだったの?」
さくら「うんっ!凄く楽しかった!あすぴーさんがね…」
さくらが今日の出来事を楽しそうに話し出した。
その時はいつも通りに戻っていたので、和也は少し安心した。

さくら「あっ!宿題しなきゃ!」
さくらの話がしばらく続いて、満足したのか宿題のことを思い出した。

和也「そうだね。さくらはどこがわからないの?」
和也はさくらの宿題を見ながら自分の宿題も進めた。

和也「ふぅ〜、疲れた」
1時間程勉強をして、肩が凝ってきたので1度中断した。
さくら「兄ちゃん、お風呂入ってこれば?」
和也「そうだね。そうするよ」
和也は立ち上がり、タンスから着替えを持ってお風呂場に向かった。

30分程お風呂に浸かり、お風呂を出て、髪を乾かし歯を磨いた。
そして、部屋に戻るとさくらの姿がなかった。
和也「さくらー?トイレでも行ったのかな?」
机の上には勉強道具が置きっぱなしだったので、部屋に戻ってくると思い、和也は再び部屋を再開した。

しかし、時間が経ってもさくらは戻ってこなかった。
気になり始めた和也がさくらの部屋を見に行こうとすると、『すぅー』とベットから寝息が聞こえた。

和也はベットを確認すると、布団に包まっているさくらが寝ていた。
和也「ここにいたんだ」
さくらの寝顔を見て、和也は微笑んだ。

さくらの寝顔を見ていたら和也も眠たくなり、布団の中に入った。
すると、背を向けていたさくらが振り返り、手に抱きついてきた。
和也はさくらの頭を撫でて、眠りにつかうとしたら、「兄ちゃん」とさくらが声をかけてきた。

和也「ごめん。起こした?」
さくら「ううん、大丈夫だよ。ねぇ、兄ちゃん…」
和也「どうした?」
さくら「兄ちゃんはさくの兄ちゃんだよね?」
和也「急にどうした?当たり前じゃん」
さくら「さくから離れていかないよね?」
さくらの声が少し震えていた。
和也「離れないよ?」
さくら「ちょっと寂しかったんだ…」
和也「そういうことだったんだね」
さっきのさくらの表情は寂しかったからだった。
さくら「兄ちゃんはさくの兄ちゃんだからね?」
和也「うん。さくらの兄ちゃんだから安心しな?寂しくなったらいつでも寝においで?」
さくら「うん。そうする。それなら寂しくない」
さくらは和也の頬にキスをした。
さくら「これからもみんなと仲良くしてね?さくの兄ちゃんだけど、みんなのマネージャーだから…」
さくらはそう言って再び眠りについた。

そんな、寂しがり屋で甘えん坊な妹のことをこれからも守っていこうと思う和也なのであった。

■筆者メッセージ
ちょっと箸休めで!笑
しゃもじ ( 2022/01/10(月) 12:18 )