乃木坂高校












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第6章
たくさんのありがと
美波「ん〜!着いた〜!!」
バスでの移動を終えて、山の中にある民宿に着いた。
史緒里「避暑地だけあって涼しいね〜!」
祐希「わーい!山の中だぁ〜!!」
あたり一面自然に囲まれて、自然児の祐希のテンションが上がり、走り回っている。
一実「与田ちゃん可愛い〜!」
そんな祐希を母親のように見守る一実。
真夏「よしっ!ここで合宿頑張ろうね!」
『オーッ!』とみんなは盛り上がっていた。ある男を除いては。

さくら「兄ちゃん、元気ないね?」
和也「ちょっと疲れちゃって」
真佑「大丈夫ですか?」
和也「たぶん。てか、なんであの人はあんな元気なんだ…」
和也の目線の先には、真夏にちょっかい
を出している絵梨花の姿が。

先生「受付終わったから、中に入るぞー!着替えて、30分後にここに集合すること!」
みんなは返事をして、民宿に入ろうとすると、ぐいっと誰かに背中を掴まれる。
和也「飛鳥さん。どうかしましたか?」
飛鳥「これ!」
飛鳥はただ一言だけ言って、荷物を差し出してきた。
和也「これがどうかしましたか?」
飛鳥「これ持って!」
そう言って、飛鳥さんは、無理矢理荷物を持たせてきた。
真夏「こらっ、自分で持ちなさい!」
飛鳥「だってマネージャーでしょ?だから、荷物を持つの!!」
真夏「あららっ、完全に拗ねちゃってる」
和也「俺はいいですよ。とりあえず中に入りましょ」
和也は飛鳥の荷物を持って、中に入っていった。

部屋割りは基本的に2人一部屋で、和也は1人部屋になる。
和也「荷物ここでいいですか?」
飛鳥「うん」
いまだにそっけない態度の飛鳥さん。
日奈子「あれ?和也くんは、あすの荷物持ちなの?わがまま言われちゃった?」
どうやら飛鳥さんは日奈子さんと同じ部屋らしい。
和也「わがままとかじゃないですよ。飛鳥さんはちょっと移動で疲れちゃったみたいで」
飛鳥「えっ…」
和也「それじゃ、俺は部屋に戻るんで。また何かあったら呼んでください」
そう伝えて、自分の部屋に向かった。

部屋に入り、ジャージに着替えて、時間までゆっくりする。
(静かなところだなーっ)窓から外を眺めていると、『コンコン』とノックの音が聞こえた。
和也「はい、どうぞ」
『……。』返答をしても、ドアがピクリとも動かない。
立ち上がってドアを開けと、そこには飛鳥さんが立っていた。
和也「飛鳥さん。どうかしました?」
飛鳥「あっ、えーっと。その…」
飛鳥は顔を下げて、モジモジしている。
和也「とりあえず入ります?」
飛鳥は頷き、和也の部屋の中に入った。

和也「なにかあったんですか?」
少し距離を取って座っている飛鳥に問いかける。
飛鳥「あったというか、別にないんだけど」
和也「どういうことでしょう?」
飛鳥「その…さっきはありがと…」
和也「さっき?あーっ、荷物のことですか?飛鳥さんの荷物軽かったですね!荷物は少ない人なんですね」
飛鳥「荷物もだけど、荷物じゃないこともありがとなの!」
和也「荷物以外?何かありましたっけ?」
飛鳥「あーっ!!もういい!」
飛鳥さんは少し大きな声を出して、立ち上がり近寄ってきた。
そして、ギュッと抱きついてきた。
和也「あの…。これは…」
飛鳥「飛鳥ちゃんもかまってくれないと、拗ねちゃうんだからね」
どうやら飛鳥さんが拗ねていたのは、他の人と喋っていたからみたいだ。

和也「以後気をつけますね」
和也は飛鳥の小さな頭を撫でる。
飛鳥「ねぇ…チューして?そしたら、合宿頑張れるから…」
和也「ここでですか?」
飛鳥「うん…だめ?」
和也「うーん。誰も見てないし大丈夫かな」
和也はそう言って、飛鳥の唇にキスをした。
飛鳥「ありがと…」
和也「合宿頑張ってくださいね?」
飛鳥「うん!頑張る!!それじゃ、先に行くね!」
そう言って飛鳥さんは部屋を出ていった。

しゃもじ ( 2021/11/30(火) 12:37 )