乃木坂高校












小説トップ
第5章
勘違い
先生「遠藤、この後ちょっとだけいいか?」
レッスンが終わり、片付けをしていると先生に話しかけられる。
和也「はい、大丈夫ですけど、どうしました?」
先生「夏休みの合宿のことでちょっとな」
和也「わかりました。片付けが終わったら、職員室に行きますね」
先生「悪いな。なら、待ってるからな」

和也は先生と話が終わり、遥香の元に向かう。
和也「遥香、この後、先生と合宿の話があるから、今日は一緒に帰れないや」
遥香「そうなの?私も待ってようか?」
和也「どれだけかかるか分からないし、悪いから先に帰ってて?」
遥香「うん…わかった…」
和也「さくらも今日は飛鳥さんと寄り道するって言ってたから、1人になっちゃうけどごめんね?でも、もう大丈夫だと思うからさ」
遥香「うん!そうだね!なら、また明日ね!」
和也は遥香と別れて、職員室に向かった。

10分程話して、職員室を出た。
柚菜「先輩!お疲れ様です!」
下駄箱で靴に履き替えていると、柚菜が話しかけてきた。
和也「柚菜、お疲れ様。まだいたんだね」
柚菜「はい。ちょっと忘れ物しちゃって戻ってきたんです!」
柚菜は舌をちょっとだけ出して笑った。
和也はそのまま柚菜と学校を出た。
柚菜「今日はさくちゃんはいないんですか?」
和也「さくらは飛鳥さんと寄り道するみたい」
柚菜「そうなんですね!いつもは2人なのに寂しいですね?」
和也「2人で…?」
柚菜「はい!いつもさくちゃんと2人で帰ってますよね?」
和也「待って!柚菜って、最近、俺が遥香とさくらと登下校してること知らない?」
柚菜「かっきーとさくちゃんと登下校?そうなんですか?」
登下校の時に遥香の感じていた視線は、柚菜じゃない誰かになる。
柚菜「先輩…?怖い顔してますけど、どうしたんですか?」
和也「柚菜!ごめん!!俺、行かなきゃ!」
和也はかばんを投げ捨てて、全力疾走で遥香の家に向かった。
(頼む!間に合ってくれ!)
遥香の家の近くに来ると、「やめてください!誰か助けて!」と遥香の声が聞こえた。
(どこだ!!どこにいる!)
和也は近くにあった人気の無い公園に入った。

「なんで嫌がるの?僕は遥香ちゃんの事が好きなんだよ。あんな男より僕の方がお似合いだよ」
遥香「来ないでよ!誰か、和くん助けて!」
遥香はトイレの壁に追い詰められて、逃げれない状況になる。
「もう逃げれないよ?さぁ、僕と付き合うって言ってよ!」
遥香「キャー!!」

「うげっ!!」変な声が聞こえたと共に、身体のどこにも触られた感覚がない。遥香は恐る恐る目を開けた。
遥香「か、和くん……」
遥香が目を開けると、目の前には和也が立っていた。
和也「はぁ…はぁ…。間に合った…はぁ…はぁ…」
遥香は和也の姿を見ると、安心して涙が溢れた。
「な、なんだよお前は!なんで、邪魔ばっかりするんだよ!」
和也「遥香、少しだけ目をつぶって、耳塞いでてくれる?」
遥香「えっ、うん。わかった」
遥香は和也の指示通り、目をつぶって耳を塞いで、視覚と聴覚の情報をシャットダウンしたのであった。

しゃもじ ( 2021/11/01(月) 07:07 )