乃木坂高校












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第5章
視線の真相
翌日、さくらと遥香と登校して、柚菜が待つ屋上に向かった。
屋上に着くと、グラウンドを眺めている柚菜がいた。
和也「ごめん、待たせちゃったね」
柚菜「大丈夫です。柚菜こそ呼び出してすみません」
和也「大丈夫だよ。俺も柚菜と話したかったから。それでどうしたのかな?」
柚菜「先輩はかっきーのことどう思っていますか?」
和也「遥香のこと?急にどうしたの?」
柚菜「いいから答えて下さい」
和也「どうって、さくらの友達で仲のいい後輩の1人だけど…」
柚菜「それだけですか?」
和也「えっ?えーっと、それはどういう?」
柚菜「かっきーは先輩とお話する時に、すごく嬉しそうなんです。柚菜達には見せない顔をするんです。だから、先輩がかっきーを傷つけるなら、柚菜はそれが許せません」
和也「そういうことか…。だから、俺に冷たかったんだね」
柚菜「……。すみません。先輩なのに」
和也「こう言うことに先輩も後輩も関係ないよ?遥香が言う通り、柚菜は優しい子なんだね?」
柚菜「どういうことでしょう?」
和也「遥香と一緒に帰ったりする時に、柚菜の話をよくしてくれるんだ。「柚菜は可愛いんだよ。優しいんだよ」ってね。柚菜は友達想いなんだね」
柚菜「かっきーが…」
和也「これからも遥香と仲良くしてね?あと、さくらとも」
柚菜「ふふっ、さくちゃんは分かりますけど、なんで、かっきーのことを先輩がお願いするんですか?」
和也「確かに言われてみれば!でも、柚菜が遥香を大切に想っているように、俺も大切に想ってるからさ。もちろん、メンバー全員ね?だから、誰も傷つけることはしないよ」
柚菜「先輩…。やっぱり先輩は不思議な人ですね。よくクラスのみんなが先輩のお話をするんです。優しいねとかカッコいいねとか。その理由がちょっとだけ分かった気がします」
和也「不思議かな?まぁ、でも誤解が解けてよかったよ」
柚菜「柚菜は勘違いしてましたね。ここ最近、かっきーや先輩のこと見てましたけど、先輩が傷つける様な素振りがなかったから、聞いてみたかったんです」
和也「見ていた?なるほど!そういうことか!」
柚菜「そういうこと?なんのことでしょう?」
和也「あっ、ごめん。こっちの話。それより、もうすぐHR始まるから戻ろっか?」
柚菜は頷き、2人は校舎に入っていった。

遥香がたまに感じる視線や、自分自身、たまに感じる視線は、柚菜からの視線だった。
ようやく、真相が分かり和也は安心した。
そして、お昼休みにその事を遥香に伝えた。
遥香「えっ?柚菜が?」
和也「そうみたい。よく俺と遥香を見ていたんだって」
遥香「うーん、柚菜だったのかなぁ〜」
なんだか納得していない遥香。
和也「どうかした?」
遥香「ううん、なんでもないよ!和くん、解決してくれてありがと!」
和也「解決だなんて大袈裟だよ」
遥香「それで、柚菜に私のこと聞かれて、どう答えたの?」
和也「えっ、そんなこといいじゃん!」
遥香「そんなことじゃないよ!どうなの〜?」
和也「いいから、内緒!それで、隙あり!」
和也は遥香のお弁当から、ウインナーを掴んで口に入れた。
遥香「あぁ〜!私のウインナー!返してよ〜!」
和也「返してってもう口の中」
遥香「もぉ〜!怒ったからね〜!」
遥香は頬を膨らませて怒っている。
和也「今度、いっぱいウインナー焼いてあげるから許してね?」
遥香「絶対だからね?約束だよ?」
和也「はいはい、約束」
 
お昼休みが終わり、教室に戻る2人。
和也「んっ?」
遥香「和くん、どうしたの?」
和也「いや、気のせいかも。それじゃ、昼からも頑張ってね?」
遥香「和くんもね!それじゃまたね!」
遥香と別れて、和也は自分の教室に戻った。

和也この時、自分が犯した勘違いに気付いていなかった。

しゃもじ ( 2021/10/31(日) 19:12 )