乃木坂高校












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第3章
史緒里と特訓
今日から久保さんとバドミントンの練習を始める。
芸能科のみんなは勝負事にはガチになるタイプらしく、しばらくの間は放課後、球技大会の練習をするので、レッスンは中止になった。
久保「とりあえずラリーから始めてみよっか?」
和也達は交互にシャトルを打ち合う。
久保「そうそう!上手!」
久保さんは経験者なので、フォームが綺麗だ。和也はそれを見様見真似で形にしていく。
そして、不恰好な弧で飛んでいたシャトルも、次第に綺麗な弧で飛んでいく。

練習を始めて1時間。少し休憩を入れる。
久保「遠藤くん、本当に初心者なの?」
和也「えっ、うん。体育の授業でやったことあるぐらい。どうして?」
久保「すごく上手だったから。運動神経が抜群なんだね」
和也「そんなことないよ。久保さんの教え方が上手いだけだよ」
久保「そんなことないよ。そうだ!せっかくペアになるんだし、その久保さんって呼び方やめない?」
和也「なら、久保様?」
久保「ちょっとやめてよ〜!それ桃子のだよ」
和也「なんで久保様になったの?」
久保「自分で言うのも恥ずかしいんだけど、桃子が私のことを尊敬してくれてるみたいで、久保様になったんだ。昔はしーちゃんだったんだよ」
和也「そうなんだ。確かに久保さんは優しいし、レッスンの時もストイックだし、尊敬できるのはわかるかも」
久保「ちょっと、恥ずかしいからやめて〜!話が脱線してるよ〜」
和也「あははっ!ごめんね!呼び方だっけ?なら、史緒里って呼んでもいいかな?」
久保「えっ、はい!大丈夫です…」
和也「んっ?急にどうしたの?」
久保「いや、男の子に史緒里と呼ばれたのが初めてだから、ちょっと恥ずかしくって」
和也「あっ、そうなんだ。なら、別の呼び方にする?」
久保「だめっ!史緒里でいいよ!」
和也「えっ、あっ、わかった。なら、俺も下の名前でいいよ?」
史緒里「えっ?いいの?」
和也「うん。だってペアだからね!よろしくね、史緒里」
史緒里「なら、和也くんって呼ばせてもらいます。私こそよろしくお願いします」
史緒里はそう言って頭を下げた。
すると、「あーっ!」体育館の入り口から声が聞こえる。
沙耶香「和くんだぁ〜!!久保さんもいる〜!」
さぁちゃんがこっちに駆け寄ってくる。
沙耶香「和くんもバドミントンになったんですか?」
和也「そうだよ。さぁちゃんも?」
久保「和くん…さぁちゃん…」
沙耶香「うんっ!矢久保とペアで出るんです!」
矢久保「久保さん、先輩、お疲れ様です」
和也「お疲れ様。2人とも頑張ってね」
『はい!』2人は笑顔で返事をした。
史緒里「和也くん、休憩終わりだから練習しよ?」
そう言う史緒里の顔が少し怖かった。
和也「えっ、なんか顔が怖いんだけど」
史緒里「なにが?私は元々この顔だよ?」
真顔で笑う史緒里を見て、さぁちゃんと矢久保さんは少しビビっていた。

その後、先程の優しく教えてくれた史緒里とは真逆になり、鬼の様な教え方になる。
史緒里「和也くん!今のはちゃんと取りなさい!それに、スマッシュは叩きつける様に打つって言ったよね!」
史緒里との特訓は、日が沈むまで続いたのだった。

しゃもじ ( 2021/09/16(木) 07:16 )