乃木坂高校












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第2章
和也とさくらの過去
      〜2年前〜
さくら「兄ちゃん。今日も帰り遅いの?」
和也「うん。練習があるからね」
さくら「パパもママもお仕事だから、さく、一人ぼっち」
和也「ごめんな?終わったらすぐに帰ってくるから」
転校する前は両親共働きで、学校が終わってさくらが1人でお留守番することが多かった。
和也「てか、さくら、顔が赤いけど大丈夫?」
さくら「えっ?大丈夫だよ!兄ちゃん、野球の練習頑張ってね!」
和也「ありがとう。体調悪かったら寝てるんだぞ」
和也は家を出て、練習場に向かった。
遅くまで続いた練習が終わり、急いで家に帰った。
和也「ただいま。遅くなってごめん。さくら?」
いつもなら出迎えてくれる、さくらが今日は来なかった。
和也「さくら?もう寝たの?」
リビングのソファで横になっているさくらをみつけた。
和也「なんだ。寝てるだけか」
さくらの姿を見つけて安心していると、さくらの息づかいがおかしいことに気づく。
和也「さくら、おい!大丈夫?」
さくらの身体を触るともの凄く熱かった。
和也「熱い…。どうしよう。父さん、母さん!!」
両親はまだ帰ってきていないので、呼んだところで返事はない。
和也「どうしよう…。病院いかなきゃ!」
和也はテンパりながらも救急車を呼んで、病院へと向かった。

病院に着いて、さくらの治療を待っている。和也は手の震えが止まらなかった。『和也!!』父さんと母さんが来た。
和也「父さん、母さん、さくらが…」
父「父さんと母さんが来たからもう大丈夫だ。よく救急車呼んだな。よくやった」
母「和也、ありがとう」
30分程して病室から先生が出てきた。
父「先生!さくらは?」
「もう大丈夫ですよ。ちょっと休めばすぐに熱は下がりますよ」
母「ありがとうございます!」
和也は一目散に病室の中に入った。
和也「さくら、ごめんな…。兄ちゃんのせいで辛かったよな…」
寝ているさくらの前で和也は号泣した。
それから、和也は野球を辞めて、学校が終わってから、ずっとさくらとお留守番をするようになった。

さくら「ということがあったんだ。だから、兄ちゃんは私のせいで辞めちゃったの」
さくらは泣きながら過去のことを話した。
遥香「さくちゃん…辛かったね…」
飛鳥「全く!あのマネージャーはシスコンだな!」
秋元「飛鳥!なんてこと言うの!」
飛鳥「だってそうじゃん!野球よりえんぴーのことが大事だったんだよ。自分のことより妹のことを優先したんだ。それなのに、えんぴーがくよくよしてたら、あいつ可哀想だよ?」
さくら「あすぴーさん…」
生田「確かに飛鳥の言う通りだね。さくらちゃんが泣いてたら、遠藤くんも悲しいと思うよ」
高山「さくらちゃん、ポジピース!」
梅澤「てか、なんでさくらちゃんより桃の方が号泣してるのよ」
桃子「うえーん。和くんはさくらちゃん想いのいい人だぁ〜」
久保「本当だね…ぐずん」
掛橋「大変!!また、相手に点が入ったよ!」
試合はいつの間にか3点取られ、更にノーアウト満塁になっていた。
乃木坂高校の選手がマウンドに集まる。
「すみません。せっかく同点になったのに」
ピッチャー選手がみんなに謝っている。
監督「お前のせいじゃないよ。でも、これ以上の失点はきびしいな」
「俺じゃあの打線は抑えれません」
みんなの気持ちがネガティブになる。
和也「あの〜。俺、ピッチャーやってもいいですか?」
「えっ?遠藤、ピッチャーできるのか?そもそも、野球やったことないんじゃ?」
和也「経験ありますよ、ピッチャー。中学までですけど」
キャプテン「えぇ!確かに素人にしてはあのホームランはおかしかったけど」
監督「遠藤、お前まさか…」
和也「まぁ、あれぐらいなら何とかできますよ!」
監督「よしっ、任せたぞ!」
ピッチャーが和也に変更になって試合が再開する。
桃子「あれっ?和くんがピッチャーだ」
久保「さくらちゃん。遠藤くんはピッチャーやったことあるの?」
さくら「えっ、はい。確か中学の日本代表の時も4番でピッチャーだったような…」
『えぇー!!!』再び騒ぎ出すメンバー。
監督「遠藤!今の話本当か!?」
さくら「は、はい。確かそうです」
監督「まさか、あの遠藤和也がこの学校にいるとは…」
生田「知ってるんですか?」
監督「知らないわけなかろう。全国の強豪の高校があいつを欲しがったんだ」
秋元「そんな凄い人だったんだ…」
監督「これはもしかしたら勝てるかもしれんぞ!」
みんなが見守る中、和也は大きく振りかぶって第一球目を投げた。

しゃもじ ( 2021/09/04(土) 16:04 )