乃木坂高校












小説トップ
第2章
何もない1日
転校してきて1週間が過ぎた。今日は休日なのでゆっくり寝ている。
「・・・ください!」声がうっすら聞こえる。恐らくさくらだろう。
和也「うーん。もう少し寝させて」
「だめです!起きてください!」
さくらが身体を揺すってくる。
和也「わかった。わかったからさ!ありがと」
和也は寝ぼけながらさくらの頭を撫でた。
すると、「きゃあ!」と叫び声が聞こえた。
(んっ?きゃあ?てか、さくらの声じゃないような)
和也は目を開けて確かめると、そこには賀喜さんがいた。
和也「えっ?賀喜さん!?なんでいるの?てか、さくらは?」
賀喜「あ、あの、今日はさくちゃんとお出かけする約束してて、それで、さくちゃんがまだ準備してるから、お兄さんを起こしてほしいと頼まれたので」
和也「そういうことですか。あの、なんかごめんなさい」
賀喜さんは頭を撫でたせいなのか、顔が真っ赤になっていた。
賀喜「あっ、いえ。少し嬉しかったです」
和也「ごめんね。さくらだと思ったからつい」
賀喜「さくちゃんにいつもしているんですか?」
和也「さくらは甘えん坊だからね。みんなには内緒ね?恥ずかしいだろうし」
賀喜「はい。あの、その代わりといってもあれですが、もう一度してもらえませんか?」
和也「いいよ。おいで」
そう言うと賀喜さんは近づいてきた。
そして、賀喜さんの頭を撫でると、顔を真っ赤にしていたが嬉しそうな顔をしてくれた。
さくら「かっきー!お兄ちゃん起きたぁ?」
準備を終えたさくらが部屋に入ってきた。
賀喜「あっ、うん!起きたよ!」
さくら「ありがと〜!お兄ちゃん、お休みの日は全然起きないから、ちゃんと起こしてあげないといけないんだぁ!あれ?顔が赤いけど大丈夫?」
賀喜「えっ?そうかな?いつもと変わらないと思うけど」
さくら「うーん。そうかな?お兄ちゃんのお部屋が暑いからかな?」
賀喜「たぶんそうじゃないかな?ちょっと暑いね」
賀喜さんは手で顔を仰いだ。
さくら「お兄ちゃん寒がりだからね!お兄ちゃん、おはよ」
和也「おはよ。賀喜さんと出かけるんだって?気をつけてね」
さくら「うん!かっきーとお買い物にいくんだぁ!お兄ちゃんは何するの?」
和也「うーん。特に何もないから寝るかな」
賀喜「ほんとにずっと寝てるんですね」
和也「大人は色々疲れるんですよ」
さくら「一歳しか変わらないのに!それより、もうそろそろ行こっ?」
賀喜「そうだね!それでは行ってきます!さくちゃんのことは任せてくださいね!」
さくら「いってきまーす!」
和也「いってらっしゃい」
2人は部屋から出て行った。

和也はその後、少しボーッとしてスマホを確認する。すると、山下さんからメッセージが来ていた。
(そういえば、連絡先交換したな)
和也はメッセージを開いた。
山下「おーい!起きてる?」
和也「今起きたよ。おはよ」
返信してすぐに返信がきた。
山下「おはよ〜!今日は予定ある?」
和也「寝る予定ならあるよ」
山下「なら暇だね!もし、よかったらなんだけどさ、街の案内しようか?」
引っ越してきたばかりなので、山下さんが気を使ってくれているのだろう。
和也「ほんとに?なら、お願いしようかな」
山下「本当に?やったぁ〜!」
和也「何がやったぁ〜なの?」
山下「なんでもないよ!なら、1時間後に学校の前に集合でいいかな?」
和也「うん、大丈夫だよ。なら、また後でね」
山下さんとのメッセージを終えて、出かける準備を始める。
何もない1日から一変し、予定が入ったので少しだけ嬉しくなるのであった。

しゃもじ ( 2021/08/19(木) 08:12 )