乃木坂高校












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第11章
忘れ物と仲直り
レッスン終了後、和也はレッスン室の掃除をしている。
(一実さん、いつくるんだろう…)
レッスンが終わった後に、一実に声をかけられ、レッスンが終わった後に相談があると言われたので、掃除しながら待っている。

『ガチャ』レッスン室のドアが開く音がして振り返る。
和也「美月…」
一実だと思って振り返ったが、そこに立っていたのは美月だった。

美月「どうも…」
和也「ど、どうしたの?」
レッスンの時のこともあったので、和也は気まずそうに話しかける。

美月「忘れことがあったから」
和也「何忘れたの?一緒に探すよ」
美月「大丈夫。もう見つけてるから」
和也「そうなんだ。なら、また明日。お疲れ様」
和也はそう言って掃除の続きを始める。
しかし、美月はその場から動かずに立ち尽くしている。

和也「あの、どうしたのかな?」
美月「これ、どうすればいいの?」
和也「これとは…?」
美月「掃除…。どうやってやればいいの?」
美月は俯いて、ボソッと呟いた。

和也「えっ…?」
美月「だーかーら!お掃除のやり方教えて!」
ヤケクソになった美月が大きな声をだす。

和也「えーっと、それはね」
和也は美月にいつもやっている掃除のやり方を教えた。
そして、お互い無言のまま掃除が終わった。

和也「ありがとう。美月のおかげで早く終わったよ」
美月「こんな大変なこと毎回1人でやってたんだね…」
和也「初めの頃は大変だったけど、もう慣れたかな。それにみんなもレッスンで疲れてるだろうし、これぐらいは俺がやらないと」
掃除道具を片付けている和也を美月は黙って見つめた。

和也「そういえば忘れ物ってなんだったの?掃除してる時に見当たらなかったけど?」
美月「あ、あのね!」
和也「んっ?どうした?」
美月「和くん、ごめんね。私、和くんが大変なのも知らないであんな事言って…」
和也「……。俺もごめん。もっとしっかりするべきだったよ」
美月「ううん。和くんはしっかりしてるよ。いつもお掃除してくれて、みんなのことを考えてくれて。いっぱい疲れてたよね」
美月は涙目になりながら、和也を見つめる。

美月「あやめちゃんは和くんが大変なのわかってたんだね。なんか悔しいなぁ〜」
美月の大きな目から涙が溢れる。
そんな美月に和也はゆっくり近づく。

和也「美月にもたくさん助けられてるよ?」
美月「私は和くんを困らせてばっかだよ…」
和也「そんなことないよ。美月が隣で笑ってくれてるから、俺も元気になるし、いっぱい助けられてるよ。だから、いつもありがとう」
美月「うぅ…和くん!!うぇーん」
美月は和也に勢いよく抱きついた。
和也「もう泣かないの!」
和也は美月の頭を優しく撫でた。

2人が仲直りして一件落着かと思われた。
しかし、これで終わらないのがお決まり事だ。

「キャー!!」ドアの方から声が聞こえる。
「真夏!声が大きいって!」
「だって、キュンキュンしちゃうじゃん!」
「いやいや、2人とも声が大きいですよ!」
「久保ちゃんもだよ!バレちゃう!」

全く隠れる気がないのか、大きな声が聞こえる。
和也「……。」
美月「……。」
和也と美月は目を合わせて笑った。

和也「なにしてるんですか?」
和也は僅かに開いていたドアを開ける。

『あっ!!』3人はヤバいという表情をする。
真夏「あははっ、奇遇ですね〜」
一実「いや〜、お姉さん達は心配でね〜」
史緒里「私も同級生として心配でね〜」
真夏「それじゃ後はごゆっくり〜!」
3人は笑って誤魔化し、その場から離れようとする。

美月「こらっ!3人ともどこにいくつもりですか!?」
一実「あらら、美月ちゃんの顔が怖いですね〜」
史緒里「可愛い顔が台無しですよ〜」
真夏「そうそう、私の次に可愛いお顔が」
美月「こらーっ!!」
美月が叫ぶと3人は散らばって逃げる。

美月「まてーっ!!」
一実「真夏が余計なこと言うから〜!」
真夏「えっ、私!?ってか、みんな速いって!」
史緒里「和也くん、笑ってないで助けてよ〜!」
必死に逃げる3人に対して、美月は最高の笑顔をしていたのだった。

しゃもじ ( 2022/05/30(月) 09:55 )