乃木坂高校












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第11章
2人の喧嘩
その日の放課後。1年生メンバーは実習があり、本日のレッスンに参加できない。
2、3年しか居ないレッスン室では重い空気が流れていた。

真夏「ねぇ、なんでこんなに空気が悪いの?」
一実「さぁ〜?ただ、一つだけ言えるのは、あの子絡みと言うことだね」
真夏と一実はある人に目線を向けた。

和也「これ美月のドリンク…」
美月「……。」
美月は大きな目でギロッと睨んで、プイッとそっぽ向く。
和也「まだ怒ってる…」
和也は気まずそうにしその場を離れた。

真夏「久保ちゃん、あの2人どうしたの?」
史緒里「あっ、真夏さん。それが…」
史緒里が2時間前の出来事を話し出した。

      〜2時間前〜
美月「もうすぐ授業始まるのにどこに行っちゃったんだろう?」
隣の席に和也がいないのでソワソワしている。
美月「なんもなければいいけど…」
心配そうに和也の机を見つめる。

『キーンコーンカーンコーン』授業が始まるチャイムがなり、先生が教室に入ってきた。

先生「あれ?遠藤はどこにいった?」
誰も知らないので、なにも答えれないので無言になる。
先生「んっ?山下。遠藤知らないか?」
美月「えっ!えーっと、た、体調!体調が悪くなって保健室で寝てます」
先生「そうなのか。次回からは授業前に連絡する様に伝えておいてくれ」
美月「は、はい!!」
(ふーっ、なんとか誤魔化せた。もう、どこいっちゃったのよ!)
その後も和也のことが心配で授業に集中できなかった美月。

そして、5限目の授業が終わると、和也が教室に戻ってきた。
美月「和くん!?どこ行ってたの?心配したんだからね!」
和也「どこって言うか、屋上で…」
美月「屋上でなに!?」
和也「あやめとご飯食べてたら寝てた」
美月「は、はぁ〜〜!?」
教室内に響き渡る美月の声。

史緒里「ちょっと、山下。どうしたの?」
美月「このばかちんが人の気も知らないで、呑気に寝てたんだって!」
和也「ご、ごめんなさい」
美月「しかもあやめちゃんまで巻き込んで!」
桃子「あやめちゃん?あやめちゃん可愛いよね〜!」
美波「ちょっと桃子。今は静かにしてようか」
桃子「えぇ〜、なんでよ〜!みなみんの意地悪〜!」
和也「だからごめんって…なんか気づいたら寝ちゃってて」
美月「もう知らない!先生がちゃんと自分で連絡する様に言ってました。後で、謝りに行ってください」
美月はそう言い残し、席に着いてムスッとしていた。

史緒里「と言うことがあったんです」
真夏「なるほどね〜。まぁ、美月の気持ちも分からなくないけど」
飛鳥「全面的にあいつが悪いだろ!」
真夏「あれ?飛鳥も聞いてたの?」
飛鳥「全く!許さないんだから!」
一実「あらら、飛鳥が珍しく怒ってる」
飛鳥「授業をサボるならなんで私に連絡しないんだ!!」
真夏「……。けど、このままだと雰囲気も悪いからね〜。なんとかしないと」
史緒里「そうですよね…すみません」
一実「これはお姉さん達が人肌脱ぐしかないね!」
一実が真夏の肩に手を置いて、ニコッと笑った。

真夏「みーづき。どうしたの?ムスッとして」
美月「真夏さん…なんでもないです」
真夏「和也くんのことでしょ?」
美月「な、なんで?」
美月はビックリした表情で真夏を見る。

真夏「だってこれでもキャプテンだもん!なんでも知ってるよ?」
美月「……。誰かに聞きました?」
真夏「ギクッ!あははっ、何があったの?私で良かったら聞くよ?」
美月「……。和くんったら人の気も知らないで、呑気に寝てたんです。しかも、あやめちゃんまで巻き込んで…」
真夏「そっか。でもさ、和也くんって凄いよね」
美月「急にどうしたんですか?」
真夏「だって、1人で私たち全員のサポートしてくれてるんだよ?レッスン中に飲みたいドリンクもバラバラで、それでも覚えてくれて。終わった後も、みんなに気を遣って1人でレッスン室の掃除までしてくれてるし。1人でやるキャパは超えてるよね」
美月「……。」
美月は真夏の話を黙って聞いていた。

真夏「それにいつも私達を優先して考えてくれて。だから、たまには疲れちゃうこともあるよ。今回はたまたまあやめちゃんだったけど、もしかしたら、美月と一緒にいる時にも同じことになってたかも知れないし。そしたら、美月もあやめちゃんと同じ行動とったでしょ?」
真夏が話している途中、美月の目線は和也を追っていた。

真夏「私達も和也くんのサポートをしてあげないとね?みんなで乃木坂のメンバーなんだから」
美月「私、和くんに謝らなきゃ…」
真夏「なら、2人っきりになれる時間あるんじゃない?」
真夏は美月にウインクをして、その場を立ち去っていった。

しゃもじ ( 2022/05/29(日) 11:24 )