乃木坂高校












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第10章
辿りつかない答え
お風呂から出てのんびりしていると、『コンコン』とドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ」返事をすると仲居がはいってきた。

「お客様。お食事のご準備ができました」
夕食の時間になり、テーブルに料理が運ばれる。
遥香「うわぁ〜!美味しそう〜!」
部屋が凄いので料理も豪勢で、遥香は目をキラキラさせている。

『かんぱーい!』2人はお茶で乾杯をする。
遥香「んっ!!めっちゃ美味しい!」
和也「本当だ!めっちゃ上手い!」
料理を一口食べると、和也と遥香は目を大きく開く。
そんな姿を見て仲居は微笑んでいる。

遥香「あちちっ…」
遥香は海老の塩焼きの殻を剥こうとしているが、熱かったのか中々剥くことができない。
そんな姿を見て、和也は自分の海老の殻を剥き、遥香の前に置いた。

遥香は和也を見つめて、小さな声で「ありがとう…」と言った。
そして、剥いてもらった海老を食べると、幸せそうにする。
和也「美味しい?」
遥香「うんっ!美味しい!和くんのおかげかな?」
和也「俺のおかげ?旅館の人じゃなくて?」
遥香「今はそんなボケいらんで?」
和也「ボケ…?」
遥香「これはあかんわ…」
遥香は天然な和也に呆れている。

すると、「これも食べていいよ?」和也が交換した海老の殻を剥き、空になった皿と取り替える。

遥香「でも…和くんのだよ?」
和也「俺は大丈夫だよ。遥香の好物だし、1尾じゃ足りないでしょ?」
遥香「ありがとう…。いただきます」
海老を食べる遥香の姿を見て、和也は優しく微笑んで見ていた。

遥香「こんなに優しいのになんで、鈍感なんやろ…」
遥香は考えても一生辿りつかない答えについて考えていた。

その後、夜ご飯を食べ終わると仲居が後片付けに部屋を訪れる。
仲居「お布団敷かせていただきますね」
そう言うと、押し入れから布団を取り出して、敷いてくれた。

遥香「ふーっ、お腹いっぱいで眠たくなってきたわ」
食後にテレビをしながらまったりしていると、あくびが出たのか、手で口元を押さえている。
和也「子どもみたいだね」
遥香「可愛い子どもやろ?」
和也「はいはい。そうだね」
遥香「ながすな〜!」
そんなやりとりをしながら、歯を磨いて寝る準備をした。

そして、布団の中に入り電気を消した。
遥香「和くん…もっと近く行ってもいい?」
和也「いいよ。布団動かす?」
遥香「ううん、大丈夫」
遥香はそう言うと、和也の布団の中に入ってきた。
遥香「和くん、腕枕して…?」
和也が腕を伸ばすと、遥香はその上に頭を置いて、「幸せ…」と小さな声で囁いたのだった。

しゃもじ ( 2022/05/11(水) 12:41 )