乃木坂高校












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第10章
小悪魔と鈍感男
和也が辛い物を食べたいと言ったので、美月の母は麻婆豆腐を作ってくれていた。

和也「美味しそう!いただきます」
和也は熱々の麻婆豆腐をレンガですくい、口の中にいれる。
すると、『ゴホッ、ゴホッ』とむせはじめた。

美月「ちょ、和くん!?大丈夫!?」
美月は慌てて水の入ったコップを和也に渡す。
和也は一気に水を流し込む。

和也「辛っ!!」
あまりの辛さにむせてしまった。

美月「そんなに辛いかな?」
美月も一口麻婆豆腐を食べる。
美月「うんっ!美味しい!」
美月は平然とした顔で、二口目、三口目を食べている。

和也「マジ…?」
そんな美月を見て少し引いてしまう。
和也「美月のが辛くないとか?」
美月「そうなのかな?食べてみる?」
美月は自分のレンゲで麻婆豆腐をすくって、和也の口に近づける。
和也はそれを口の中に入れると、再びむせはじめた。

和也「やっぱり辛い!!」
美月「そうなの?いつもと変わらないよ?」
山下家の麻婆豆腐は激辛だった。

しかし、食べ始めるとこの辛さがやみつきになり、止まらなくなる。
美月「おぉー!いい食べっぷりですね〜!」
美味しそうに食べる和也を見て、美月はニコニコしている。

和也「ごちそうさまでした!」
ご飯を食べ終わり、お茶を飲んで一息つく。

美月「こうしていると夫婦みたいだね!」
美月の一言にお茶を吹き出しそうになる。

美月「慌てすぎだから!」
ティッシュを取って和也の口周りを拭く。

美月「そうだ。和くん、まだ時間ある?」
和也「うん、大丈夫だけどどうしたの?」
美月「勉強教えてほしいなーって」
和也「いいよ。早く宿題終わらせないとね」
美月「やったぁ〜!急いでお片付けしなくちゃ!」
和也「俺も手伝うよ」
食べた食器を持って、2人で洗い物をしてから美月の部屋に向かった。

美月が準備をして、宿題を始めようした時、和也はあることに気づく。

和也「んっ?もうほとんど終わってない?」
宿題はほとんど終わっており、和也が手伝うほどでもなかった。

美月「あっ、ほんとだぁ〜!あははっ〜」
明らかにわざとらしい口調で話し出す。

和也「美月って意外にドジだよね」
何か意図があるであろう行動も鈍感の和也の前では無意味だった。

美月「もうっ!やっぱり鈍感!」
美月は頬を膨らませて、力強い目で和也を見つめる。

和也「鈍感…?」
和也の頭の中は?マークでいっぱいになる。

美月「和くん…私のこと捕まえて?」
美月にそう言われた瞬間、今日の出来事を思い出す。

「私を捕まえたらなんでもしていいよ?」
ぶどう狩りの時に言われた美月の言葉。

和也は反応的に美月の腕を掴んで、抱き寄せたのだった。

しゃもじ ( 2022/04/22(金) 12:29 )