乃木坂高校












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第9章
楽しい1日
和也「ただいまー。って、なんでそんな怖い顔してるの?」
家に帰ってくると、さくらが怖い顔をして玄関で待っていた。

さくら「兄ちゃん!なんで1人で行っちゃうの?さくも一緒に美緒ちゃん迎えに行きたかったのに!!」
美緒「えっ…」
和也「ごめんごめん。さくら、お風呂に入ってたからさ」
さくら「先に言ってくれたら、お風呂後にしたのに!」
中々、さくらの機嫌が良くならない。
すると、「さくちゃーん!!!」と美緒が興奮気味に話し出す。

美緒「さくちゃん、さくちゃん!さくちゃんはお家だと、自分のことさくっていうの?それに、そのパジャマめっちゃ可愛いね〜!写真撮らなきゃ!」
美緒はかばんからスマホを取り出す。

さくら「えっ、これは違うの。たまたま、さくって言っちゃって」
美緒「いいからいいから!はい、チーズ!」
『カシャ』美緒は写真を撮ると、なにやらスマホでメモをとっている。

和也「なにしてるの?」
美緒「さくちゃんメモです!さくちゃんが、自分の事をさくって呼ぶのメモしてるんです!てか、先輩。何でこんな大事な事教えてくれなかったんですか?」
和也「これって大事なことなの?」
さくら「恥ずかしいからメモとらないでよー!」
美緒の独壇場で振り回されてる和也とさくら。
未だに玄関でやりとりが続いている。

玄関で謎のやり取りが10分程続いて、ようやく家の中に入ることが出来た。

和也「あれ?母さんと父さんは?」
さくら「もう寝室行っちゃったよ」
和也「そっか。美緒、お風呂入った?」
美緒「入ったんですけど、来る時に汗かいてしまいました…」
和也「なら、お風呂入っておいで?」
美緒「えっ、いいんですか?」
和也「うん、さくら、案内してあげて?」
さくら「はーい!美緒ちゃん、行こ!」
さくらは美緒をお風呂場に案内しに行った。

和也は一休みする為に、冷蔵庫から麦茶を取り出して、コップに注いでソファに座った。
和也「ふーっ、楽しい一日だったな…」
麦茶を飲んで、目を瞑って今日のライブのことを思い出していると、「兄ちゃん?寝ちゃった?」とさくらが戻ってきた。

和也「起きてるよ」
さくら「目瞑ってたから寝てるかと思ったよ」
さくらは和也の横に座った。

和也「今日のライブのこと思い出しててさ。さくら、かっこよかったなーって」
さくら「そんなことないよ。本当に緊張したし、怖かったもん」
和也「でも、さくらは強くなったよ。始まる前にみんなを慰めたりしてさ。飛鳥さんに、お兄ちゃん離れが近いかもって言われたよ」
さくら「違うよ?兄ちゃんがいるから頑張れたんだよ?曲が始まる前に、震えが止まらなかったけど、兄ちゃんを見たら震えが止まったんだ」
和也「俺を見て?そういえば、曲が始まる前にみんながこっち見てた様な…」
和也は気のせいだと思っていたが、実際に見ていた様だ。

さくら「みんな?さくだけじゃなかったんだね!みんなも兄ちゃん見て力貰ったんだよ。だから、まだまださくには兄ちゃんが必要です!」
さくらはそう言って、和也の肩に頭を乗っけた。

和也「まだお風呂入ってないから汚いよ」
さくら「汚くないもーん。兄ちゃん、さく、今日頑張ったからご褒美ちょうだい?」
和也「ご褒美?何がいいの?」
さくらは頭を起こして、和也の方を向いて目を閉じた。
和也はさくらがしてほしいことを察して、ゆっくり顔を近づけた。

『チュッ…』触れ合うお互いの唇。
顔を離すと、さくらは照れ臭そうにしていた。
和也「さくら、よく頑張ったね?」
和也はさくらの頭を撫でていると、「先輩!大変です!」とリビングに慌ただしく戻ってきた美緒。

和也「なに!?どうかしたの?」
美緒「わ、私から…」
和也「美緒から…?」
美緒「私からさくちゃんと同じ匂いがします!!」
和也「……。えっ?」
美緒「どうしましょう!?こんな幸せなことありますかね?」
美緒は自分の髪の匂いを嗅いで興奮している。

和也「……。さくら…後はお願いね?お風呂入ってくる」
さくら「えっ!兄ちゃん、待ってよぉ〜!」
和也は苦笑いしながらお風呂場に向かったのであった。

しゃもじ ( 2022/03/19(土) 21:19 )