日向高校




























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第4章
先輩以上恋人未満
カフェでのんびり過ごし店を出る。
菜緒「先輩!早くいきましょ!」
小坂さんがカフェで席を外して戻ってから、やけにテンションが高い。
和也「ねぇ、なんかいいことでもあったの?」
菜緒「先輩は知らなくていいんです〜!ねぇ早く!」
小坂さんは俺の手を引いて歩き出す。
(そんなにカフェの料理が美味しかったのかな?)和也はそんなことを思っていた。
カフェを出て海を見に行くことになった。5月上旬で入れはしないが、遊びたいと小坂さんが言ったから。
バスに乗って少し歩くと海が見えた。
菜緒「海だ〜!!」
小坂さんは海に着くと砂浜を走り出す。
菜緒「先輩も早く〜!」
和也「はいはい。今行くよ!」
小坂さんの元に向かう。砂浜で少し遊んだ後小坂さんが
菜緒「足だけ入れるかな?」
和也「いやいや。絶対冷たいよ。」
菜緒「大丈夫です!」
そう言って沖のベンチに靴を脱いで素足で海に向かう。
菜緒「冷た〜い!」
そう言ったものの楽しそうだ。
和也「風邪ひかないようにねー!」
和也はそう叫び、小坂さんが遊ぶのを見ていた。
菜緒「あーっ!」
和也「どうしたの??」
菜緒「タオル持ってきていないから、砂がついちゃって靴履かないです。」
和也は笑った。
菜緒「笑い事じゃないですよ〜!」
小坂さんは怒っている。
和也「しょうがないな。はいっ」
和也は小坂さんの近くにいきしゃがんだ。
菜緒「どうしたんですか?」
和也「おんぶ。とりあえず水道で砂を落として、ベンチで足が乾くまで座ってよ。」
菜緒「はーい。」
小坂さんが和也の背中に乗る。
和也「よいこいしょ」
和也が立ち上がった。「ゴン」頭に衝撃がはしる。
和也「いったぁ!なに!??」
菜緒「なんかよいこいしょって言われると菜緒が重いみたいやん。」
和也「あははっ。ごめんごめん。癖なんだ。小坂さんは軽いよ。」
菜緒「もういいです〜!早く行ってください!」
水道で砂を落として、またベンチまでおんぶする。
ベンチに座り、夕日が差し掛かった海を見ていた。
和也「そういえば小坂さん一人称って菜緒って言ってたっけ?」
小坂さんは少しびっくりしていた。
和也「どうした??」
菜緒「いや、先輩が菜緒って呼ぶから。普段は私ですけど、素が出たりすると菜緒って言っちゃいます。」
和也「そうなんだね。小坂さんはちょっとは俺に心を開いてくれたってことだね?」
和也は微笑んでいた。すると、小坂さんはモジモジして呟いた。
菜緒「もう菜緒って呼んでからないんですか?」
波の音にかき消されそうな小さな声で小坂さんは言った。
和也「小坂さんがいいなら菜緒ってよぶよ?」
菜緒「菜緒がいいです。」
和也「なら菜緒って呼ぶね?菜緒も俺のこと呼び捨てでもいいよ?」
菜緒「それはさすがにちょっと。でも、2人の時は和くんって言ってもいいですか?」
夕日のせいなのか、菜緒の顔が赤くなっていた。
和也「うん。いいよ!2人の時は名前で敬語じゃなくてもいいからね。」
菜緒「うん!」
和也「足も乾いたし帰ろっか。」
菜緒は寂しそうに頷いた。
バスに乗り駅に着いた。
電車に乗り、日向町に帰る。
菜緒を家に送ってく途中菜緒が言う。
菜緒「和くん。また遊んでくれる?」
和也「うん。いつでもいいよ。」
菜緒「今度はもっと遠くにいきたい!」
和也「そうだね。菜緒となら何処に行っても楽しいそうだね。」
そんな会話をしていると菜緒の家に着いた。
菜緒「送ってくれてありがと。小説読んだら渡すね。」
和也「うん。ありがと。それまでに菜緒が選んでくれた小説読むね。またね!」
別れの挨拶をしたが菜緒は動かない。
和也「どうした?うわぁ」
菜緒が和也の手を引っ張って、近づいた顔にキスをする。
菜緒「それじゃまた学校で。」
こうして、日向町にきて初めてのGWは終わった。

しゃもじ ( 2021/05/01(土) 11:07 )